都市部の小児喘息コントロール、抗IgE抗体omalizumab追加で改善

提供元:ケアネット

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公開日:2011/03/30

 



都市部に住む小児、青年、若年成人の喘息患者に対して、ガイドラインベースの治療に加えてヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体omalizumabを投与することで、喘息コントロールを改善し、増悪の季節性ピークはほとんどなくなり、喘息コントロールのためのその他薬剤の必要性が低下したことが示された。米国・ウィスコンシン大学マディソン校医学・公衆衛生部のWilliam W. Busse氏らによるプラセボ対照無作為化試験の結果による。これまでに行われた都市部に住む小児の喘息患者の調査研究で、アレルゲンへの曝露やガイドラインベースの治療の徹底で増悪を減らせることは示されているが、重症例における疾患コントロールには限界があることが示されていた。NEJM誌2011年3月17日号掲載より。

ガイドラインベースの治療にomalizumabを追加した場合の有効性を検討




抗IgE抗体omalizumabは、最新の全米喘息教育・予防プログラム(NAEPP)ガイドラインで、より高次の治療ステップでもコントロールできない喘息患者への治療として推奨されており、投与した患者の一部で増悪や症状発現、疾患コントロール維持のための吸入ステロイド薬の投与量を減らすことが示されている。一方で、都市部住民における罹患率増加の背景には、アレルギー体質の人が多いことや、大量のアレルゲンに曝露されていることがあり、Busse氏らは、omalizumabが特にこれら住民にベネフィットをもたらすのではないかと考え試験を行った。

2006年11月~2008年4月に、8施設から、都市部に住む持続性喘息を有する小児、青年、若年成人を登録し、無作為化二重盲検プラセボ対照パラレルグループ試験を行った。ガイドラインベースの治療に加えてomalizumabによる治療を行うことの有効性について検討した。試験は60週間行われ、主要アウトカムは喘息症状とされた。

omalizumab 群では、症状発現、増悪が有意に低下、吸入ステロイド薬とLABAの使用も減少




スクリーニング後無作為化されたのは419例(omalizumab群208例、プラセボ群211例)、平均年齢は10.8歳、58%が男子、60%が黒人、37%がヒスパニック系だった。また73%が、疾患分類が中等度または重度だった。

結果、omalizumab群がプラセボ群と比べて、喘息症状発現日数が2週間で1.96日から1.48日へと有意に24.5%減少したことが認められた(P<0.001)。

同様に1回以上の増悪を有した被験者の割合についても、omalizumab群では48.8%から30.3%へと有意な低下が認められた(P<0.001)。

またomalizumab群では、吸入ステロイド薬およびLABA(長時間作用性β2刺激薬)の使用が減少した。しかしそれにもかかわらず改善が認められた。

(武藤まき:医療ライター)