CKDの死亡・末期腎不全リスク、クレアチニンにシスタチンCとACRの追加で予測能向上

提供元:ケアネット

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公開日:2011/05/10

 



慢性腎臓病(CKD)患者の死亡・末期腎不全リスクの予測について、クレアチニン値にシスタチンCと尿中アルブミン/クレアチニン比(ACR)の測定値を加えることで、より精度が向上することが明らかになった。米国・サンフランシスコ退役軍人医療センターのCarmen A. Peralta氏らが、2万6,000人超を対象に行った前向きコホート試験「REGARDS」から明らかにしたもので、JAMA誌2011年4月20日号(オンライン版2011年4月11日号)で発表した。

3種バイオマーカーで、被験者を8群に分類




「REGARDS」試験(Reasons for Geographic and Racial Differences in Stroke)は、2003年1月~2010年6月にかけて、45歳以上の2万6,643人が参加し行われた。研究グループは被験者を、クレアチニン値による推定糸球体濾過量(eGFR、カットオフ値:60mL/分/1.73m2)、シスタチンC値によるeGFR(カットオフ値:60mL/分/1.73m2)、ACR値(カットオフ値:30mg/g)によって、8群のCKD診断群(いずれのマーカーでもCKDと認められない、クレアチニン値のみでCKDと診断、クレアチニン値とACR値でCKDと診断など)に分類し検討した。

主要アウトカムは、総死亡率と末期腎不全発症率。被験者の平均年齢は65歳、うち黒人が40%、54%が女性で、追跡期間の中央値は4.6年だった。

追跡期間中の死亡は1,940人、末期腎不全と診断された人は177人だった。

3種の値で診断された群はクレアチニン値単独での診断に比べ、死亡リスク5.6倍




死亡リスクについて各群の比較を行った結果、クレアチニン値のみによってCKDと診断された群との比較で、クレアチニン値とACR値によって同診断を受けた人のハザード比は3.3(95%信頼区間:2.0~5.6)、クレアチニン値とシスタチンC値により同診断を受けた群のハザード比は3.2(同:2.2~4.7)、クレアチニン値、シスタチンC値、ACR値のすべてにより診断された群は5.6(同:3.9~8.2)だった。

クレアチニン値単独ではCKDと診断されなかった人のうち、3,863人(16%)は、シスタチンC値またはACR値によりCKDであることが認められた。

いずれのバイオマーカーでもCKDにあてはまらなかった人との比較で、ACR値単独でCKDと認められた人のハザード比は1.7(同:1.4~1.9)、シスタチンC値単独では2.2(同:1.9~2.7)、シスタチンC値とACR値の両方では3.0(同:2.4~3.7)だった。

末期腎不全の発症リスクは、クレアチニン値のみでCKDと診断された群では0.33/1000人・年だったのに対し、すべてのバイオマーカーで診断された群では34.1/1000人・年だった。リスクが2番目に高かったのは、クレアチニン値では見逃されたがシスタチンC値とACR値の両方で診断された人だった(6.4/1000人・年、95%信頼区間:3.6~11.3)。

クレアチニンとACR値補正後モデルにシスタチンC値を加えた後のネット再分類改善率(NRI)は、死亡13.3%(p<0.001)、末期腎不全6.4%(p<0.001)だった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)