小児の細菌性髄膜炎に対するCTRX、5日間投与vs. 10日間投与/Lancet

発展途上国の小児において重大な疾病であり死亡の原因となっている細菌性髄膜炎に対して、静注の抗菌薬セフトリアキソン(CTRX、商品名:ロセフィンなど)が多くの国で推奨されているが、その至適な投与期間について確立されていない。アフリカ南東部のマラウイ共和国・マラウイ大学医学校小児科のElizabeth Molyneux氏らは、CTRXの投与期間について、5日間投与と10日間投与との同等性を検証する国際共同二重盲検プラセボ対照無作為化試験を、2ヵ月~12歳児を対象に行った。Lancet誌2011年5月28日号(オンライン版2011年5月26日号)掲載より。
細菌学的治療失敗、再発を主要アウトカムに無作為化試験
試験は2001年9月~2006年12月にかけて、バングラデシュ、エジプト、マラウィ、パキスタン、ベトナムの5ヵ国10小児科病院の協力を得て行われた。いずれの病院も年間150例以上の細菌性髄膜炎患児を受け入れていた。対象は、細菌性髄膜炎の原因菌として肺炎レンサ球菌、インフルエンザ菌b型、髄膜炎菌を有した2ヵ月~12歳児。無作為化は、5日間のCTRX治療で臨床的に安定したと診断された1,027例を、均等にコンピュータ配分で、さらに5日間治療を行う群とプラセボ群とに割り付ける方法で行われた。割り付け情報は患児、保護者、また医療スタッフにも知らされなかった。
主要アウトカムは、細菌学的治療失敗(脳脊髄液または血液培養検査で陽性)および再発。分析は、パー・プロトコール解析にて行われた。
5日間で症状が安定したら投与を打ち切って問題ない
解析に含まれたのは、1,004例(5日間治療群:496例、10日間治療群:508例)だった。
治療失敗例は、5日間治療群、10日間治療群ともに0例だった。
再発は、5日間治療群で2例が報告、うち1例はHIVを有する患児だった。10日間治療群では再発はみられなかった。
抗菌薬投与の副作用は、両群とも軽度で同等に認められた。
Molyneux氏は、「肺炎レンサ球菌、インフルエンザ菌b型または髄膜炎菌による細菌性髄膜炎を発症した2ヵ月~12歳児で、CTRXの5日間投与で症状が安定した患児は、問題なく投与を打ち切ってよい」と結論している。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)
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