イギリスで開発された骨折リスクの予測スコア法であるQFractureScores(http://www.qfracture.org/)は、骨粗鬆症性骨折および大腿骨近位部骨折の10年リスクを予測するツールとして有用なことが、イギリス・オックスフォード大学のGary S Collins氏らが行った外的妥当性の検証試験で確認された。国際的ガイドラインは、骨折リスクが高く、介入によってベネフィットがもたらされる可能性がある患者を同定するために、10年絶対リスクに基づいて高リスク例を絞り込むアプローチを提唱している。QFractureScoresは、イギリスの大規模な患者コホートの解析に基づいて開発された骨折リスクの予測モデルであり、内的妥当性の検証結果は2009年に報告されている。BMJ誌2011年7月2日号(オンライン版2011年6月22日号)掲載の報告。
外的妥当性を検証する前向きコホート試験
研究グループは、QFractureScoresの骨粗鬆症性骨折および大腿骨近位部骨折の予測能を評価するために、その外的妥当性を検証するプロスペクティブなコホート試験を行った。
1994年6月27日~2008年6月30日までに、イギリスの364のプライマリ・ケア施設からThe Health Improvement Network(THIN)のデータベースに登録された224万4,636人(30~85歳、1,278万4,326人年)のうち、2万5,208人が骨粗鬆症性骨折(大腿骨近位部、橈骨遠位部、椎骨)を、1万2,188人が大腿骨近位部骨折を発症した。
良好な予測能を示すデータが得られた
QFractureScoresの独立した外的妥当性の検証結果は、この予測モデルの骨粗鬆症性骨折および大腿骨近位部骨折に関する良好な予測能を示した。すなわち、大腿骨近位部骨折のリスクスコアの受信者動作特性(ROC)曲線下面積は女性が0.89、男性は0.86であった。また、骨粗鬆症性骨折のリスクスコアのROC曲線下面積は女性0.82、男性0.74であった。
QFractureScoresのモデル・キャリブレーションも良好で、男女とも、骨粗鬆症性骨折および大腿骨近位部骨折の10段階のリスクのすべてで予測リスクと実際のリスクがほぼ一致しており、判別可能な過大予測や過小予測は認めなかった。同様に、年齢層別の骨折リスクも全年齢層で予測リスクと実際のリスクがほぼ一致した。
著者は、「QFractureScoresはイギリス人の骨粗鬆症性骨折および大腿骨近位部骨折の10年リスクを予測するツールとして有用である」と結論している。
(菅野守:医学ライター)