甲状腺がん患者における放射性ヨウ素使用、病院特性が大きな理由

提供元:ケアネット

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公開日:2011/08/30

 



米国・ミシガン大学のMegan R. Haymart氏らは、臨床現場における甲状腺がん患者の全摘後の放射性ヨウ素使用の傾向について調査を行った。甲状腺全摘後の放射性ヨウ素使用については確定しておらず、使用の期間や重症度と使用との関連性などが明らかになっていない。術後使用の議論は熱いが無作為化試験は行われておらず、そのためガイドラインでは医師の裁量とされており、臨床現場は使用の支持派と反対派に二分されている。Haymart氏らは、最近の臨床での使用パターンを調べ、病院間で使用程度の格差があるか、あるとしたらどのような因子が関連しているのかを調査した。JAMA誌2011年8月17日号掲載より。

18年間で使用は有意に増大




調査は、1990~2008年に米国国立がんセンターデータベースにデータを提供していた981施設で治療を受けた分化型甲状腺がん患者18万9,219例を対象とし、放射性ヨウ素の使用について時間傾向分析を行った。また、2004~2008年に治療を受けた患者コホートにて、放射性ヨウ素使用と患者特性や病院特性などの関連を評価する多平面解析を行った。

結果、1990年と2008年とでは、腫瘍サイズにかかわらず、放射性ヨウ素使用は有意に増大していた。患者の割合でみると、40.4%(1,373/3,397例)から56.0%(11,539/20,620例)への有意な増大が認められた(P<0.001)。

患者特性と腫瘍特性が21.1%、病院タイプと治療件数が17.1%




多平面解析の結果からは、放射性ヨウ素使用についてステージ間(米国がん病期分類合同委員会に基づく)での格差が認められた。ただし認められたのはステージIとIVの格差で、オッズ比0.34(95%信頼区間:0.31~0.37)だったが、ステージIIまたはIIIと、IVとの間には関連が認められず、IIとIVのオッズ比は0.97(同:0.88~1.07)、IIIとIVのオッズ比は1.06(0.95~1.17)だった。

放射性ヨウ素使用の因子としては、患者特性、腫瘍特性に加えて、病院特性があることが認められた。

使用有無の格差は大きく、その因子として、患者特性と腫瘍特性が21.1%を占めたが、病院タイプと治療件数も17.1%を占めていた。また患者特性、腫瘍特性、病院特性で補正後は、不明瞭だが病院特性に類する因子が29.1%を占めていた。

Haymart氏は、「分化型甲状腺がん患者の治療における放射性ヨウ素使用は有意に増えていた。使用格差の背景には病院特性が大きな理由としてあることが明らかとなった」と結論している。

(武藤まき:医療ライター)