急性冠症候群発症患者に対する経口抗凝固薬である直接作用型第Xa因子阻害薬apixabanの虚血性イベント予防効果について、虚血性イベント再発の有意な低下をもたらすことなく重大出血イベントの増大が認められたことが報告された。米国・デューク大学医療センターJohn H. Alexander氏らAPPRAISE-2研究グループによる、第III相国際多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果による。同グループが従前に行った試験では、用量依存で重大出血イベント増大および虚血性イベント低下の傾向が認められた。そこから効果の可能性が期待された投与量1日2回5mgについてプラセボ対照試験を行った。NEJM誌2011年8月25日号(オンライン版2011年7月24日号)掲載報告より。
標準治療に加えて1日2回5mgのapixaban投与
APPRAISE-2(Apixaban for Prevention of Acute Ischemic Events 2)試験は、39ヵ国858施設で2009年3月~2010年11月の間に登録が行われ、被験者合計7,392例が、標準治療(抗血小板薬療法)に加えて1日2回5mgのapixaban投与群かプラセボ群に割り付けられた。被験者は、直近に急性冠症候群を発症し、2つ以上の虚血性イベント再発リスクを有していた。
主要有効性アウトカムは、心血管系による死亡・心筋梗塞・虚血性脳卒中の複合であった。主要安全性アウトカムには、TIMI定義による重大出血であった。
ハザード比は主要有効性アウトカム0.95、主要安全性アウトカム2.59
試験は、apixabanが重大出血イベント増大を上回る虚血性イベント低下の効果が認められなかったことから、早期に打ち切られ、試験データは2011年3月に締め切られ解析された。
追跡期間中央値241日間で、主要有効性アウトカム発生率は、apixaban群279/3,705例(7.5%)、プラセボ群293/3,687例(7.9%)だった。100患者・年当たりイベント発生率はそれぞれ13.2件と14.0件で、apixaban群のハザード比は0.95(95%信頼区間:0.80~1.11)だった(P=0.51)。
主要安全性アウトカム発生率は、apixabanを1回以上服用した群46/3,673例(1.3%)、プラセボを1回以上服用した群18/3,642例(0.5%)だった。100患者・年当たりイベント発生率はそれぞれ2.4件と0.9件で、apixaban群のハザード比は2.59(95%信頼区間:1.50~4.46)だった(P=0.001)。
頭蓋内出血と致死的出血は、プラセボ群よりもapixaban群で多く認められた。
(朝田哲明:医療ライター)