適応外使用にはベアメタルステントよりは薬剤溶出性ステント

提供元:ケアネット

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公開日:2008/02/06

 

最近、薬剤溶出性ステントの適応外使用と有害事象発生率増加の関係を示唆する報告が見られたが、従来のベアメタルステントとの比較はなかった。そこでピッツバーグ大学心臓血管学部門のOscar C. Marroquin氏らは、ベアメタルステントと薬剤溶出性ステントの適応外使用を受けた患者の1年後を比較。死亡または心筋梗塞のリスクに差はないが、血行再建術の再施行率は有意に低いとして、適応外使用には薬剤溶出性ステントを使うことを支持すると結論付けている。NEJM誌2008年1月24日号より。

患者6,551例の心血管イベント・死亡発生率を1年間追跡




米国国立心肺血液研究所の大規模動態登録に参加している患者6,551例を用い、薬剤溶出性ステント治療群とベアメタルステント治療群とに割り付け、それぞれ標準的使用だったか適応外使用だったかを分析した。

適応外使用の定義は、再狭窄病変、バイパス移植の病変、左冠動脈主幹部疾患または動脈口部・分岐部・完全閉塞部の各病変に対する使用とし、さらに基準血管の直径が2.5mm未満か3.75mm超だったり、病変部の長さが30mm超の患者に対する使用も加えた。その後、心血管イベントの発生と死亡発生率を1年間にわたり追跡した。

死亡、心筋梗塞再発は同等、血行再建術再施行リスクで有意差




適応外使用だった患者は、ベアメタルステント群54.7%、薬剤溶出性ステント群48.7%だった。

薬剤溶出性ステント群はベアメタルステント群より、糖尿病、高血圧、腎疾患、経皮冠動脈インターベンションと冠状動脈バイパス術の施行歴、多枝冠動脈疾患の有病率が高かった。

しかし薬剤溶出性ステント群はより困難な病歴の患者が多いにもかかわらず、介入1年後の時点ではベアメタルステント群と比べて、死亡または心筋梗塞の補正リスクに有意な差はなかったものの、血行再建術を再施行するリスクについては、薬剤溶出性ステント群のほうが有意に低かった。このため「適応外使用には薬剤溶出性ステントが支持される」としている。

(朝田哲明:医療ライター)