自宅で行う腟分泌物自己採取法によるヒトパピローマウイルス(HPV)DNA検査は、細胞診よりも陽性適中率は低いものの、医療資源に乏しく有効な細胞診プログラムを実施できない環境下では、グレード2以上の頸部上皮内がん(CIN)を検出するのに好ましい方法であることが報告された。メキシコ国立公衆衛生研究所のEduardo Lazcano-Ponce氏らによる。腟分泌物HPV DNA検査は、診療所で行う場合は、細胞診と同じかそれ以上の検出力があることが明らかになっていたが、自宅で行う場合の有効性については明らかにされていなかった。Lancet誌2011年11月26日号(オンライン版2011年11月2日号)掲載報告より。
25~65歳の低所得・低医療サービス地域のメキシコ女性2万5,061例を対象に
研究グループは、診療所での子宮頸部細胞診と比較した、自宅で行う腟分泌物自己採取法によるHPVスクリーニングとの相対感度と陽性適中率の検証を行うことを目的に、地域ベースの無作為化同等性試験を行った。対象は、25~65歳のメキシコ女性2万5,061例で、社会経済的地位が低く、同国モレロス州、ゲレロ州の医療サービスが不十分な、主として農村部の540地点から登録された。
主要エンドポイントは、コルポスコピーによって確認されたCIN 2以上とされた。解析はper-protocolおよびintention-to-screenにて行われた。
被験者は、コンピュータにて無作為にHPVスクリーニング群(1万2,330例)と子宮頸部細胞診群(1万2,731例)に割り付けられた。その後、割り付け情報を知らされていない8人の地域看護師が、被検者氏名・住所リストをデイリーで受け取り、割り付けられた訪問を行い、いずれの検査でも陽性であった女性がコルポスコピー検査を受けた。
プロトコルを遵守したのは、HPVスクリーニング群9,202例、子宮頸部細胞診群1万1,054例だった。
HPV検査は細胞診と比べて、CIN 2以上特定3.4倍、侵襲性がん検出4.2倍以上
結果、HPV有病率は9.8%(95%信頼区間:9.1~10.4)、異常細胞率は0.38%(同:0.23~0.45)だった。
CIN 2以上女性の特定は、1万人あたり、HPV検査は117.4件(同:95.2~139.5)だったのに対し、細胞診は34.4件(同:23.4~45.3)で、HPV検査の相対感度は、3.4倍以上(同:2.4~4.9)に上った。
同様にHPV検査は、侵襲性のがんを細胞診よりも4.2倍以上検出した[1万人あたり30.4件(同:19.1~41.7)vs. 7.2(同:2.2~12.3)]。
一方で陽性適中率は、HPV検査は12.2%(同:9.9~14.5)、細胞診は90.5%(同:61.7~100)だった。