米国で、妊娠20週以降の死産の原因について調べたところ、産科的合併症が最も多く約29%、次いで胎盤異常が約24%に上ることなどが明らかにされた。米国立小児保健発育研究所(NICHD)が死産という重大な公衆衛生問題に取り組むため組織した「The Stillbirth Collaborative Research Network」(SCRN)が、死産を経験した女性約600人について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2011年12月14日号で発表した。米国では、死産が妊娠160件につき1件の割合で発生しており、その総数は1年間の乳児死亡数にほぼ匹敵し、死産率は先進諸国と比べると高率で、過去10年間ほぼ横ばいで推移しているという。
産科的合併症が最も多く29%、次いで胎盤異常24%
米国での死産の傾向として、有意な人種間差異が認められていたが未解明だった。そこでSCRNは、人種・民族性および地理的ベースが多様な集団での、死産の原因を明らかとするため、2006年3月~2008年9月の間に全米59の3次救急を担う地域中核病院で登録された妊娠20週以降に死産した女性663人について、病歴調査や胎児の検死、胎盤の病理学的検査などを行い、その原因について調査した。検死は、同意の得られた被験者500人(胎児数512児)について可能だった。
結果、60.9%にあたる312児で推定死因が判明し、可能性まで含めると76.2%の390児の死因が判明した。
死産の原因で最も多かったのは、産科的合併症で150児(29.3%)、次いで胎盤異常が121児(23.6%)、胎児の遺伝的・構造的異常が70児(13.7%)、感染症が66児(12.9%)、臍帯異常が53児(10.4%)、高血圧性疾患が47児(9.2%)、その他の母体の健康状態によるものが40児(7.8%)だった。
黒人の母親で産科的合併症、感染症の割合が高率
死産の原因を人種別にみたところ、白人やヒスパニック系と比べて黒人の母親で、産科的合併症(43.5%対23.7%、絶対格差:19.8ポイント、p<0.001)、感染症(25.2%対7.8%、絶対格差:17.4ポイント、p<0.001)が有意に高率だった。また黒人の母親では、分娩時死産、より早い時期での死産発生もより多く認められた。
死産の原因解明に役立ちそうな情報ソースとしては、胎盤の病理学的検査(268児、52.3%)、胎児の検死(161児、31.4%)、核型情報(限定的結果で357児中32児、9%)が挙げられた。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)