STEMIの再入院リスク、米国は他の国のおよそ1.5倍

提供元:ケアネット

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公開日:2012/01/17

 



ST上昇型心筋梗塞(STEMI)による再入院率は米国が最も高く、血行再建術実施のための再入院を除いても、オーストラリアや欧州などに比べ、およそ1.5倍に上ることが明らかにされた。退院30日以内の再入院のリスク因子としては、多枝病変であることが2倍と最も高かった。米国・デューク大学医療センター臨床研究所のRobb D. Kociol氏らが、約5,700人のSTEMI患者について行った事後比較の結果で、JAMA誌2012年1月4日号で発表した。

入院日数中央値は米国が最短で3日、ドイツが最長で8日




研究グループは、2004年7月13日~2006年5月11日にかけて、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドと欧州13ヵ国の計296ヵ所の医療機関を通じて行われた、STEMI患者5,745人が参加した試験「Assessment of Pexelizumab in Acute Myocardial Infarction」のデータについて事後解析を行った。

主要アウトカムは、退院後30日以内の再入院に関する予測因子だった。

その結果、被験者のうちSTEMIによる院内死亡を除く5,571人のうち631人(11.3%)が、退院後30日以内に再入院していた。

国別に再入院率をみると、米国は14.5%と、その他の国の9.9%に比べ有意に高率だった(p<0.001)。

一方で、入院日数の中央値は米国が3日(四分位範囲:2~4)と最短で、最長はドイツの8日(同:6~11)だった。

米国の院内死亡率や入院後30日死亡率は同等




多変量回帰分析の結果、30日再入院に関する予測因子は、多枝病変(オッズ比:1.97、95%信頼区間:1.65~2.35)、米国で入院(同:1.68、1.37~2.07)だった。

米国で入院という再入院予測因子は、血行再建術実施のための再入院を除いた後もオッズ比は1.53(同:1.20~1.96)だった。

しかし各国の入院日数で補正後は、30日全死因死亡や緊急再入院の独立した予測因子ではなかった。また米国での入院は、院内死亡(オッズ比:0.88、同:0.60~1.30)や入院後30日死亡(オッズ比:1.0、同:0.72~1.39)のリスク因子ではなかった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)