急性副鼻腔炎に対する抗菌薬治療、プラセボとの比較で症状改善みられず

提供元:ケアネット

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公開日:2012/02/28

 



急性副鼻腔炎に対するアモキシシリン(商品名:サワシリンほか)10日間投与の効果を、プラセボとの比較で検討した無作為化試験の結果、投与開始3日後、10日後での症状改善は認められなかったことが報告された。ただし7日後ではアモキシシリン群で有意な改善が認められたという。急性副鼻腔炎への抗菌薬投与に関するエビデンスは乏しいものの、医療現場では広く投与が行われている。本報告は、米国・ワシントン大学総合医科学部門のJane M. Garbutt氏らが、約170人について行った無作為化プラセボ対照試験の結果で、JAMA誌2012年2月15日号で発表した。

アモキシシリン1,500mg/日を10日間投与、3、7、10、28日時点のアウトカムを評価




研究グループは、2006年11月1日~2009年5月1日にかけて、米国ミズーリ州10ヵ所の医療機関で治療を受けた、合併症のない急性副鼻腔炎の成人166人(男性36%)について試験を行った。

被験者を無作為に二群に分け、一方にはアモキシシリン1,500mg/日(1日3回投与、85人、平均年齢32歳)を、もう一方にはプラセボを(81人、同31歳)、それぞれ10日間投与した。被験者には、その他に、痛みや発熱、咳、鼻づまりの症状を抑える薬が必要に応じて5~7日間投与された。対症療法は92%(アモキシシリン群94%、プラセボ群90%、p=0.34)。

主要アウトカムは、副鼻腔アウトカム尺度16により測定した生活の質(QOL)だった。副次アウトカムは、患者の後ろ向き自己評価による、症状や機能上の変化、再発や治療に対する満足度、副作用などだった。アウトカムの評価は、治療開始後3、7、10、28日後に、電話インタビューにより行われた。

治療開始7日後のみで、アモキシシリン群の症状が有意に改善




その結果、副鼻腔アウトカム尺度16の変化の平均値は、治療開始3日後でアモキシシリン群が-0.59に対し、プラセボ群は-0.54(群間差:0.03、95%信頼区間:-0.12~0.19)、10日後では同群間差0.01(同:-0.13~0.15)と、いずれも有意差はなかった。ただし、治療開始7日後の評価では、アモキシシリン群で改善幅が有意に大きく、群間差は0.19(同:0.024~0.35)だった。

症状が改善したと答えた人の割合も、治療開始3日後がアモキシシリン群37%、プラセボ群34%(p=0.67)、同10日後がそれぞれ78%、80%(p=0.71)と、いずれの時点でも両群は同等だった。一方、治療開始7日後では、アモキシシリン群74%に対しプラセボ群が56%と、アモキシシリン群で有意に高率だった(p=0.02)。

その他副次アウトカムについて、両群の差は認められなかった。重篤な有害事象は発生がなかった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)