早期産児の死亡と疾患の主因である気管支肺形成異常は、人工換気と酸素療法に関係している。オーストラリア・メルボルン市Royal Women's Hospital のColin J. Morley氏らは、出生直後の超早期産児に対して、経鼻的な持続的陽圧呼吸法(CPAP)と挿管による人工換気の比較研究を行った。CPAPは挿管法と比べて、死亡率や気管支肺形成異常に有意差はなく、気胸の発病率は逆に高まったが、酸素療法を受ける児は減り、人工換気日数も減少するという結果を得ている。NEJM誌2008年2月14日号より。
25~28週で出生した未熟児610例を調査
在胎25~28週で生まれた早期産児610例を、出生後5分で、経鼻的CPAPを行う群と挿管による人工換気を行う群に無作為に割り付け、生後28日目、在胎期間で36週目、および退院前の各時点で転帰を評価した。
死亡率と気管支肺形成異常に有意差は認められず
28日目時点での死亡リスクまたは酸素療法の必要性は、CPAP群のほうが挿管法群より低かった(オッズ比0.63、95%信頼区間:0.46~0.88、P=0.006)。在胎期間で36週の時点では、死亡するか気管支肺形成異常が発見されたのは、CPAP群が307例中33.9%だったのに比べて、挿管法群は303例中38.9%だった(同0.80、58~1.12、P=0.19)。全体の死亡率にはほとんど違いはなかった。
CPAP群の未熟児は、生後5日間で46%に挿管が行われたが、サーファクタントの補充量は半分ですんだ。
気胸の発生率は、CPAP群は9%だったが挿管法群は3%(P<0.001)。他には深刻な有害事象はなかった。またCPAP群のほうが人工換気を行った日数が少なかった。
Morley氏らは、「超早期産児に対する早期の経鼻的CPAPは、挿管法と比べて死亡率や気管支肺形成異常を有意に減らすことはなく、CPAP群の気胸発生率は挿管法より高かったが、28日時点で酸素投与療法を受ける早期産児は少なく、人工換気日数も短かった」とまとめている。
(朝田哲明:医療ライター)