閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は高血圧発症リスクを増大するが、持続気道陽圧療法(CPAP)によりそのリスクが低下することが、明らかにされた。スペイン・Miguel Servet大学病院のJose M. Marin氏らが約12年間追跡した前向きコホート研究の結果による。OSA患者では高血圧を呈する人が大勢を占める。これまで短期試験では、CPAPが同患者の高血圧リスクを低下することは示されていた。JAMA誌2012年5月23・30日合併号掲載報告より。
高血圧を伴わない1,889例のOSAまたは非OSA患者を中央値12.2年追跡
研究グループは、1994年1月1日~2000年12月31日に終夜睡眠ポリグラフィ検査のために受診した高血圧を伴わない1,889例について、2011年1月1日まで追跡し、高血圧発症について調べた。追跡期間は中央値12.2年、総計2万1,003人・年だった。
基線から高血圧発症が認められた時点までのBMI変化値などの交絡因子で補正した多変量モデルで、非OSA患者(対照)群、未治療OSA患者群、国のガイドラインに基づくCPAP治療を受けた非OSA・OSA患者群の高血圧発症ハザード比(HR)を算出した。主要評価項目は、新規高血圧発症とした。
CPAP治療群のみ、補正後ハザード比0.71と低下を示す
高血圧発症例は705例(37.3%)だった。100人・年当たりの高血圧発症率は、対照群2.19(95%信頼区間:1.71~2.67)、OSA患者・CPAP治療非適用群3.34(同:2.85~3.82)、OSA患者・CPAP治療辞退群5.84(同:4.82~6.86)、OSA患者・アドヒアランス不良群5.12(同:3.76~6.47)、OSA患者CPAP治療群3.06(同:2.70~3.41)だった。
補正後、対照群と比較して高血圧発症は、OSA患者・CPAP治療非適用群(オッズ比:1.33、95%信頼区間1.01~1.75)、OSA患者・CPAP治療辞退群(同:1.96、1.44~2.66)、OSA患者・アドヒアランス不良群(同:1.78、1.23~2.58)で高かったが、OSA患者CPAP治療群では低下した(同:0.71、0.53~0.94)。
(武藤まき:医療ライター)