子どもの卵アレルギー、卵白粉末を用いた経口免疫療法が有望

提供元:ケアネット

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公開日:2012/08/01

 

卵アレルギーの子どもに対し卵白粉末を用いた経口免疫療法を行った結果、高率の脱感作が示され、持続的不応性を誘導できる可能性があることが、二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果、報告された。米国・デューク大学小児科のA. Wesley Burks氏らが5~11歳児55例を対象に行った試験で、22ヵ月時点で75%が脱感作、24ヵ月時点での経口食物負荷試験の合格児は28%で全例がその後30、36ヵ月時点でも卵を食べることができたという。現状では、卵アレルギーには非摂取が唯一の回避策とされている。本結果を踏まえてBurks氏は、「非常に有望な治療的介入を発見した」と結論。推奨治療とするためにリスク定義や、薬物療法との定量化、患者の同定、長期の免疫寛容を助長するためポスト脱感作戦略の開発などが重要だとまとめている。NEJM誌2012年7月19日号掲載報告より。

卵アレルギー児55例を経口免疫療法群とプラセボ群に無作為化
Burks氏らの試験は、5~11歳(年齢中央値7歳)の卵アレルギー児55例を無作為に、経口免疫療法を受ける群(40例)とプラセボ群(15例)に割り付け行われた。経口免疫療法群は、初期漸増期、増強期、維持期(卵白粉末を最高1日2g、卵3分の1相当量を摂取)を経た後、10ヵ月時点と22ヵ月時点で卵白粉末を用いた経口食物負荷試験が行われた。

その後、22ヵ月時の試験合格児は、経口免疫療法を中止し4~6週間あらゆる卵の摂取を避け、24ヵ月時点で、持続的不応性をみる経口食物負荷試験が卵白粉末と全卵料理を用いて行われた。さらに、この24ヵ月時点の試験合格児は、卵を適宜摂取することが認められ、30ヵ月時点と36ヵ月時点で持続的不応性の評価が行われた。

試験の主要エンドポイントは、22ヵ月時点の持続的不応性であった。

22ヵ月時点で経口免疫療法群の75%に脱感作
10ヵ月時点の経口食物負荷試験(卵白粉末5g)には、プラセボ群0例に対し、経口免疫療法群は55%が合格した。

22ヵ月時点の同試験(卵白粉末10g)では、経口免疫療法群の75%に脱感作が認められた。

経口免疫療法群では28%(11/40例)が、24ヵ月時点の経口食物負荷試験に合格し持続的不応性であるとみなされた。また全員がその後、30ヵ月、36ヵ月時点でも卵を摂取することができた。

24ヵ月時点の経口食物負荷試験合格では、免疫マーカーの測定結果として、プリックテストの膨疹径が小さいこと、卵特異的IgG4抗体値の上昇が認められた。

(武藤まき:医療ライター)