非ポリープ型も大腸癌の罹患率は高い

提供元:ケアネット

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公開日:2008/03/18

 

結腸直腸癌(大腸癌)は米国における癌死亡原因の第2位を占める。米国ではこれまで、大腸癌はポリープ型腫瘍が時間とともに移行したものと考えられ、予防ではその発見と除去に集中してきた。そのため日本では指摘されていた非ポリープ型(平坦型と陥没型)腫瘍(NP-CRNs)の重要性を指摘するデータも限られていたが、米国カリフォルニア州のパロアルト病院のRoy M. Soetikno氏らが、米国でも非ポリープ型からの癌罹患率は高いとの調査結果を報告した。JAMA誌2008年3月5日号より。

既往群で有病率が有意に高い




米国でも非ポリープ型腫瘍が大腸癌に密接な関連があるとの仮説を立てたRoy M. Soetikno氏らは、日本の国立がんセンター東病院(千葉県柏市)で非ポリープ型腫瘍を鑑別する訓練を積み、帰国後、退役軍人を母集団としてその有病率を調べるとともに、大腸癌との関連を調べる横断研究を実施した。

対象患者は2003年7月から2004年6月にかけて任意で大腸内視鏡検査を受けた1,819例(男性95%、白人79%、平均年齢64歳)。主要評価項目は腫瘍の内視鏡下の形状、出現部位、大きさ、組織構造、そして浸潤の深さとした。

調査の結果、非ポリープ型腫瘍全体の有病率は9.35%(95%信頼区間:8.05%~10.78%、n=170)だった。スクリーニング群、本人または家族に大腸癌あるいは腫瘍の既往歴があるサーベイランス群、症状のある群それぞれの有病率は、5.84%(同4.13%~8.00%、n=36)、15.44%(同12.76%~18.44%、n=101)、6.01%(同4.17%~8.34%、n=33)で、既往歴のある群で有意に高かった。

陥没型が最もハイリスク




当該部位または粘膜下浸潤癌を伴う非ポリープ型腫瘍の全体有病率は0.82%(95%信頼区間:0.46%~1.36%、n=15)、スクリーニング群の有病率は0.32%(同0.04%~1.17%、n=2)だった。全体として、非ポリープ型腫瘍は大きさにかかわらず、ポリープ型より癌腫をより多く含んでいたとの結果も示されている(オッズ比9.78、95%信頼区間:3.93~24.4)。当該部位または粘膜下の浸潤癌を伴う非ポリープ型腫瘍陽性とサイズ(調整後)の関連は、スクリーニング群(同2.01、0.27~15.3)、調査群(同63.7、9.41~431)においても観察された。また、陥没型のタイプに最も高い危険性(33%)が確認された。

癌腫を含む非ポリープ型腫瘍のサイズ(直径)は、ポリープ型と比べて小さかった。それぞれ平均直径15.9(10.2)mm対19.2(9.6)mm[( )はSD]。処置に要した時間は、これまでの対照群と比べて変化はなかった。

報告は、退役軍人の患者群を対象とした今回の大腸内視鏡検査で、非ポリープ型腫瘍は比較的多い疾患であると同時に、大きさにかかわらず、ポリープ型腫瘍よりも癌腫との関連が強いと結論づけている。

(朝田哲明:医療ライター)