難治性のアタマジラミの患者に対し、0.5%イベルメクチン・ローションを処方し、自宅で単回塗布し10分間置き水ですすいでもらうという治療を行った結果、7割以上の患者で、治療の翌日、1週間、2週間後でアタマジラミがみられない状態が確認できた。米国・Eastern Virginia Medical SchoolのDavid M. Pariser氏らが、約770人の患者について行った無作為化比較試験の結果、報告した。アタマジラミの第一選択治療であるペルメトリンやピレトリンは、その薬剤抵抗性が増加してきているという。NEJM誌2012年11月1日号掲載より。
0.5%イベルメクチン・ローションを乾いた髪に単回塗布
研究グループは、2件の多施設共同無作為化二重盲検試験で、シラミを梳き櫛を用いずに駆除できるか、0.5%イベルメクチン・ローションと溶媒とを比較する検討を行った。
生後6ヵ月以上のアタマジラミ患者で、3匹以上の生きたアタマジラミを確認できた人を指標患者とし、その家族で、生きたアタマジラミが1匹以上確認された人も被験者とし、指標患者と同じ治療を行った。
被験者は無作為に2群に分けられ、一方には0.5%イベルメクチン・ローションを、もう一方は対照群として溶媒を処方した。いずれの群にも、第1日目に乾いた髪にローションを塗布し、10分間放置後、水で洗い流すことを指示した。
主要エンドポイントは、第2日目にアタマジラミが認められず、その状態が第8日目、15日目にも継続していた被験者に占める指標患者(3匹以上の生きたアタマジラミを確認できた家族の中での最年少患者)の割合だった。
治療翌日にアタマジラミが認められなかった人、イベルメクチン群95%、対照群31%、14日後は74%と18%
治療を完了した被験者総数は765人だった。治療完了した指標患者のうち、イベルメクチンを塗布したのは141人、溶媒を塗布したのは148人だった。
指標患者の平均年齢はイベルメクチン群が7.8歳(標準偏差:6.5)で、溶媒対照群が8.5歳(同:8.2)だった。
結果、アタマジラミがみられなかった人の割合は、いずれの時点でもイベルメクチン群で高く、第2日目はイベルメクチン群が94.9%に対し溶媒対照群が31.3%、第8日目はそれぞれ85.2%と20.8%、第15日目はそれぞれ73.8%と17.6%だった(p<0.001)。
有害事象の頻度と重症度は、両群で同程度だった。
※保険適用のイベルメクチンは経口薬のみで、対象疾患は疥癬および腸管糞線虫症に限られる。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)