中間期乳がん患者の予後は、マンモグラフィスクリーニング未実施の乳がん患者と同程度であることが明らかにされた。米国・ハーバード公衆衛生大学院のMette Kalager氏らが、住民ベースの観察コホート研究の結果、報告した。先行研究では、無作為化試験または観察研究いずれにおいても、とりわけサンプルサイズが100例以下と小さく結果は限定的であった。本検討では、7,100余名の被験者を対象とし評価が行われた。BMJ誌2012年12月1日号(オンライン版2012年11月16日号)掲載より。
50~72歳の乳がん女性7,116例を10年間追跡
研究グループは、中間期乳がん女性(マンモグラムの通常スクリーニング後または次回計画実施前に乳がんを検出)と、マンモグラフィスクリーニング未実施で乳がんがみつかった女性の予後について比較した。
対象となったのは、ノルウェー各郡で1996~2005年の間に行われた、乳がんスクリーニングプログラムに参加した50~72歳の女性のうち乳がんと診断された7,116例で、中間期乳がんは1,816例、非スクリーニング乳がんは5,300例であった。
主要評価項目は、腫瘍の特徴と、Kaplan Meier曲線およびCox回帰ハザードモデルによる生存率とした。
10年生存率は中間期乳がん79.1%、非スクリーニング乳がん76.8%で有意差みられず
中間期乳がんの病変部位は、非スクリーニング乳がん患者よりもわずかに大きかったが、腋窩リンパ節の組織学的所見に両群間で著しい格差はみられなかった。
中間期乳がんにおいて、最後の正常マンモグラム以降の発達率のマーカーとなるような、サイズ、結節ステータス、グレードあるいはホルモン受容体陽性などに、確たる傾向はみられなかった。
追跡期間10年後の生存率は、中間期乳がん79.1%(95%信頼区間:75.4~82.3)、非スクリーニング乳がん76.8%(同:75.3~78.2)で、有意差はみられなかった(ハザード比:0.98、95%信頼区間:0.84~1.15、p=0.53)。
最終正常マンモグラム、乳がん診断時の年齢、あるいはスクリーニングラウンド以降による時間階層解析の結果は、両群で同程度であった。