ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌治療後に陰性が確認できた人について、1年後に再感染している割合は11.5%であることが、ラテンアメリカ6ヵ国(7地域)で行った試験で明らかになった。米国・Vanderbilt大学のDouglas R. Morgan氏らが、ピロリ菌の除菌治療を行った1,500例弱を追跡した結果、報告したもので、JAMA誌2013年2月13日号で発表した。
尿素呼気試験で陰性だった人の1年後再感染率を追跡
研究グループは2009年9月~2011年7月に、ラテンアメリカ7ヵ国で、ピロリ菌に感染していた1,463例(21~65歳)を無作為に3群に分け、除菌治療と観察を行った。除菌治療は次の3つの異なる方法で行われた。(1)14日間の3剤投与(ランソプラゾール、アモキシシリン、クラリスロマイシン)、(2)ランソプラゾール、アモキシシリンを5日間投与後、ランソプラゾール、クラリスロマイシン、メトロニダゾールを5日間投与、(3)ランソプラゾール、アモキシシリン、クラリスロマイシン、メトロニダゾールを5日間投与。
試験開始6~8週間後に、尿素呼気試験で陽性だった人は、ビスマス系薬ベースの4剤併用療法による14日間の再除菌治療を希望により受けることができた。
主要エンドポイントは、除菌により尿素呼気試験で陰性となった被験者の、1年後の再感染率だった。
初回除菌治療のみでの1年後陰性は72%
その結果、除菌治療後に尿素呼気試験で陰性となった1,091例のうち、1年後に同陽性が認められたのは125例、ピロリ菌の再感染率は11.5%(95%信頼区間:9.6~13.5)だった。
再感染と有意に関連したのは、試験を実施した地域(p=0.03)、初回の除菌治療のアドヒアランス不良(補正後オッズ比:2.94、同:1.31~6.13、p=0.01)、子どもとの同居(子ども1人につき同:1.17、1.01~1.35、p=0.03)だった。
1年後に尿素呼気試験を行った1,340例のうち、ピロリ菌が陰性だった人の割合は全体で79.3%(同:77.1~81.5)で、当初の除菌治療の違いによる有意差はなく(p=0.61)、各群の陰性の割合は、(1)80.4%、(2)79.8%、(3)77.8%だった。
初回の除菌治療のみを対象とした解析(再除菌治療を非考慮)では、1年後にピロリ菌が陰性であった人の割合は72.4%(同:69.9~74.8)だった。試験を実施した場所(p<0.001)、当初の除菌治療のアドヒアランス良好(p<0.001)、男性(p<0.001)、年齢(p=0.02)が有意な関連因子だった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)