中国で2013年春に流行した鳥インフルエンザA(H7N9)の感染者111例について、診療記録を基に行った調査の結果、ICUで治療を受けたのは約77%、死亡は27%であったことを、北京大学のHai-Nv Gao氏らが報告した。また、患者の大半は入院時に肺炎と同様な症状を呈し、患者の年齢中央値は61歳であったという。NEJM誌オンライン版2013年5月22日号掲載の報告より。
最も多い症状は発熱と咳、典型的X線所見はGGOと浸潤影
研究グループは、2013年5月10日までにH7N9ウイルス感染が確認された111例について、その臨床的な特徴を調べた。
その結果、111例のうちICUで治療を受けていたのは76.6%で、死亡したのは27.0%だった。
111例の年齢中央値は61歳で、65歳以上は42.3%、女性は31.5%であり、61.3%の患者が1つ以上の基礎疾患があった。
最も多く認められた症状は、発熱と咳だった。入院時に108例(97.3%)が、肺炎と一致する症状が認められた。典型的なX線所見は、両側性スリガラス状陰影(GGO)と浸潤影だった。
リンパ球減少症が認められたのは88.3%、血小板減少症は73.0%だった。
共存症があるとARDSリスクが3.4倍に
患者のうち108例(97.3%)に抗ウイルス薬による治療が行われ、治療開始の中央値は発症後7日目だった。
RT-PCR法によって、ウイルス試験の結果が陰性であることが明らかになるまでの日数の中央値は、発症から11日(四分位範囲:9~16)、抗ウイルス薬投与開始から6日(同:4~7)だった。
多変量解析の結果、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)のリスク因子は、共存症のみであったことも明らかになった(オッズ比:3.42、95%信頼区間:1.21~9.70、p=0.02)。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)