無作為化試験の解析プラン、公表試験とレジストリ等での不一致は47%/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2013/08/01

 

 無作為化試験の主要アウトカムの報告において、ベースラインや解析方法について広範で多様な補正(adjustment)が行われていることが、米国・スタンフォード大学のNazmus Saquib氏らによるメタ疫学研究の結果、明らかにされた。それら補正後の主要アウトカムを選択することで、名目上の結果の有意性が変わる可能性があり、著者は、「プロトコルにおいて、主要アウトカムについて補正プランがあることを明確にすべきであり、また解析は事前プランに準じて行われるべきである」と提言している。BMJ誌オンライン版2013年7月12日号掲載の報告。

2009年に出版された200論文を解析
 研究グループは、無作為化試験の主要アウトカムについて、補正が行われているかを調べるとともに、それら補正が結果に与える影響について評価することを目的とした。

 Journal Citation Reports 2009でインパクトファクターが高いと評価された25のバイオメディカル雑誌を対象とし、2009年に出版され主要アウトカムを報告していた無作為化試験を検索した。

 ヒットした適格論文684本のうち、200本を無作為に選択し、2名のリサーチャーがスタディ集団、介入、主要アウトカム、主要アウトカムの補正プランについてデータを抽出した。また、介入の影響の大きさと統計的有意性を、補正のあり・なしについて記録し、補正によって名目上の有意性に違いが生じるかを算出した。さらに、補正モデルの解析プランを公表試験と試験プロトコルにおいて比較した。プロトコルに関する情報は、レジストリ、試験デザインペーパー、およびすべての筆頭著者と連絡して収集した。

ベースライン変数について補正を行っていた試験は42%
 解析の結果、層別無作為化法を用いていた試験は54%だった。また96%の試験で、比較アームのベースライン特性が示されていた。46%はベースライン因子の格差について統計テストを用いて評価を行っていた。

 主要アウトカムについて補正解析を行っていたのは半数を占めた。解析が単一であったのは29%、非補正解析のみであったのは21%だった。

 層別化変数について補正を行っていた試験は39%(42/108本)、ベースライン変数について補正を行っていた試験は42%(84/199本)だった。

 補正後と非補正の両解析を行っていた40試験において、両解析結果ともに統計的に有意な効果が得られていた試験は43%、有意ではなかった試験は40%、いずれか一方の解析結果だけで効果が有意であった試験は18%を占めていた。

 モデル補正に関する解析プランの情報について、レジストリで入手できたのは6%(9/162本)、デザインペーパーでは78%(21/27本)、著者からの入手は74%(40/54本)だった。

 解析プランが公表試験とレジストリ、プロトコルまたはデザインペーパーとで一致していなかったのは47%(28/60本)だった。

(武藤まき:医療ライター)