新薬承認に際してFDAが用いている臨床試験エビデンスの質は、ばらつきが大きいことを、米国・イェール大学医学大学院のNicholas S. Downing氏らが検証の結果、報告した。医師および患者は新薬の安全性および有効性は十分に評価がされているものだと確信している。しかし、ばらつきが明らかになったことで著者は、「新薬使用の決定に際して医師および患者に、重大な影響をもたらすものである」と指摘している。これまで、FDAが承認した新薬のエビデンスを支持する臨床試験の質について、評価が行われたことはなかったという。JAMA誌2014年1月22日号掲載の報告より。
2005~2012年に承認された新薬についてFDA公開文書を入手し調査
Downing氏らは本検討において、承認新薬の有効性評価の臨床試験(FDAが承認の根拠とした臨床試験)の特徴を明らかにすることを目的とした。2005~2012年に承認された新薬についてFDA公開文書を入手し断面調査を行った。
主要有効性試験について、無作為化、盲検化、比較群、エンドポイントの項目デザインで層別化し評価を行った。臨床効果が予測できたと思われるバイオマーカーをエンドポイントに用いていた場合は代用アウトカムであると定義し、被験者数、試験期間、試験を完了した被験者の割合についても調べた。
36.8%の新薬は1試験をベースに承認
2005~2012年の間に、FDAが承認した新薬は188件であった。448件の主要有効性試験に基づき206の適応が承認されていた。
1適応当たりの主要有効性試験数の中央値は、2試験(四分位範囲:1~2.5)であった。一方で、74の適応(36.8%)は1試験をベースに承認されていた。
ほとんどすべての試験は、無作為化(89.3%)、二重盲検化(79.5%)、試験薬 vs. プラセボ比較(87.1%)にて行われていた。全主要有効性試験における1適応ごとの登録被験者数の中央値は、760例(四分位範囲:270~1,550)だった。
少なくとも1試験が6ヵ月以上の試験期間である主要試験が、68(33.8%)の適応の根拠となっていた。
主要アウトカムとして代用エンドポイントを用いていた主要有効性試験は、91の適応について独占承認の基礎を形成していた。一方で臨床的アウトカムを用いていたものは、67の適応(33.3%)、臨床尺度を用いていたものは、36の適応(17.9%)であった。
また、各試験には、治療や適応の特徴ごとに(治療領域、予想される治療期間、希少性、急がれた承認など)異なる特色が認められた。
(武藤まき:医療ライター)