非転移性の前立腺がんについて、根治的前立腺摘除術を受けた患者のほうが放射線療法を受けた患者よりも長期の生存アウトカムは良好であることが示された。スウェーデン・カロリンスカ大学病院のPrasanna Sooriakumaran氏らが、同国で行われた15年間の観察研究に基づき報告した。結果を踏まえて著者は、「より若く、併存疾患が少なく、中程度~重度リスクの局所前立腺がんを有する患者では、全摘のほうがより大きな恩恵を受けると思われる」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年2月27日号掲載の報告より。
1996~2010年に全摘または放射線療法を受けた3万4,515例の死亡アウトカムを評価
前立腺がん患者における全摘または放射線療法後のアウトカムを比較した高度なエビデンスは不足しており、これまでの観察研究データの多くは正確性に欠け、追跡調査を十分に行った完全な記録データがなく、有効性の比較検討はバイアスがあることを前提としたものであった。
今回、研究グループは1996~2010年に、プライマリで全摘を受けたスウェーデンの男性2万1,533例と、同放射線療法を受けた1万2,982例の計3万4,515例を対象とする観察研究を行った。
被験者を、リスク(低、中、高、転移性)、年齢、Charlson併存疾患指数によって分類し評価した。主要評価項目は、前立腺がんまたは他の要因による累積死亡率であった。放射線療法vs. 全摘の競合リスク回帰ハザード比を補正前、および傾向スコアと伝統的(多変量)因子で補正後、ならびに傾向スコア適合後に算出し評価した。また、感度解析も行った。
若く、併存疾患が少なく中程度~重度リスクの患者は全摘によるベネフィットが明白
結果、前立腺がん死亡の全死亡に占める割合は、全摘群、放射線療法群のいずれも、リスク群の増大とともに上昇することがみてとれた。
非転移性の前立腺がん患者においては、放射線療法群の粗死亡率が全摘群よりも有意に高率であった(補正後部分分布ハザード比:3.09、95%信頼区間[CI]:2.69~3.56)。傾向スコアと多変量補正後、部分分布ハザード比が低下したが、全摘を支持するものであった。それぞれの補正後ハザード比は1.76(95%CI:1.49~2.08)、1.77(同:1.49~2.09)だった。
サブグループ解析の結果、より若く、前立腺がんリスク中等度~重度でより健康状態が良好な男性において、全摘から受ける恩恵がより明白であった。
こうした主要な所見は、感度解析でも変わらず確認された。