軽度異形成を伴うバレット食道に対する高周波アブレーションは、腫瘍への進行リスクを抑制することが、オランダ・アムステルダム大学のK. Nadine Phoa氏らが行った追跡期間3年の無作為化試験の結果、報告された。過去30年で食道腺がんの発生率は6倍増大しており、西側諸国において最も急速に増大したがんとなっているという。食道腺がんのリスクは、軽度異形成を伴うバレット食道により増大するが、大半のガイドラインは、同患者における腫瘍への進行について内視鏡検査(6~12ヵ月ごと)でのモニタリングを勧めている。Phoa氏らは、内視鏡サーベイランスとの比較で内視鏡的高アブレーションが同患者における腫瘍への進行リスクを抑制するかを検討した。JAMA誌2014年3月26日号掲載の報告より。
内視鏡サーベイランス群との比較で3年間にわたる無作為化試験
試験は2007年6月~2011年6月にかけて、ヨーロッパ9地点で136例の患者を登録して行われた多施設共同無作為化試験であった。試験適格患者は無作為に、内視鏡的高アブレーション群(焼灼群、68例)または内視鏡サーベイランス群(対照群、68例)に割り付けられた。アブレーション手技は、バルーンデバイスで食道の円周を焼灼または局所デバイスでターゲット部位を焼灼する方法で行われた。
患者は、2013年5月まで追跡を受け、主要アウトカムは、無作為化後3年間の追跡期間中における高度異形成または腺がんへの進行だった。副次アウトカムは、異形成と腸上皮化生の根治、および有害事象であった。
腫瘍への進行リスク25.0%抑制、異形成根治率は92.6%、腸上皮化生根治率88.2%
結果、焼灼により、高度異形成または腺がんへの進行リスクは25.0%抑制された(焼灼群1.5% vs. 対照群26.5%、95%信頼区間[CI]:14.1~35.9%、p<0.001)。腺がんへの進行リスクの抑制は7.4%だった(同:1.5% vs. 8.8%、95%CI:0~14.7%、p=0.03)。
焼灼群の患者では、異形成の根治率は92.6%、腸上皮化生の根治率は88.2%だった。一方、対照群はそれぞれ27.9%、0.0%だった(p<0.001)。
また、焼灼群の治療関連の有害事象の発生率は19.1%だった(p<0.001)。最も頻度の高かった有害事象は食道狭窄で、焼灼群8例(11.8%)でみられた。しかし全例が内視鏡的拡張(手技の中央値1回)によって解決した。
本試験は、主要アウトカムおよび安全性に関する焼灼群の優越性により早期に中断された。