米国心臓病学会・米国心臓協会(ACC/AHA)が開発したアテローム性心血管疾患(CVD)リスク予測式について、CVDや糖尿病の既往がなくLDL-C値が70~189mg/dLの白人や黒人を含む1万例超の大規模コホートに当てはめて検証した結果、同式による予測値と、実際の発生率は近似値で予測能は高いことが示された。米国・アラバマ大学のPaul Muntner氏らが報告した。JAMA誌2014年3月29日号掲載の報告より。
CVDや糖尿病歴なし、LDL-C値が70~189mg/dLの1万例超について分析
研究グループは、2003年~2007年に、Reasons for Geographic and Racial Differences in Stroke(REGARDS)試験に参加した45~79歳について、2010年12月まで追跡調査を行った。そのうち、臨床的アテローム性CVDや糖尿病歴がなく、LDL-C値が70~189mg/dLでスタチンを服用していない1万997例を対象に、ACC/AHAのアテローム性CVDリスク予測式の適合性について分析した。
さらに被験者の中で、メディケア加入者(3,333例)については、メディケアの保険請求データに基づく分析も行った。
5年CVDの発生予測値と実測値は近似
追跡期間中に発生したアテローム性CVDイベント数は338件(冠動脈疾患192件、脳卒中146件)だった。
ACC/AHAのリスク予測式で、10年アテローム性CVDリスクが5%未満の群では、5年アテローム性CVDイベントについて、発生予測値1.9/1,000人年に対し、実際の発生率も1.9(95%信頼区間[CI]:1.3~2.7)/1,000人年だった。
同じく5~7.5%未満群では、発生予測値4.8/1,000人年に対し、実際の発生率も4.8(95%CI:3.4~6.7)/1,000人年。同7.5~10%未満群では、それぞれ6.9/1,000人年、6.1(同:4.4~8.6)/1,000人年。同10%以上群では、それぞれ15.1/1,000人年、12.0(同:10.6~13.6)/1,000人年だった。C統計値は0.72だった。
メディケア加入者についての分析では、追跡期間中に発生したアテローム性CVDイベント数は234件だった。また、同予測式で10年アテローム性CVDリスクが7.5%未満の群では、5年同イベント予測値は4.0/1,000人年、実際の発生率は5.3(同:2.8~10.1)で、C統計値は0.67だった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)