低用量アスピリンは、妊娠転帰に影響があるのではないかとされていたが、米国・国立小児保健人間発達研究所(NICHD)のEnrique F Schisterman氏らによる検討の結果、出産または流産のいずれとも有意な関連はみられなかったことが明らかにされた。ただし試験では、被験者のうち、前年に20週未満で流産したとの記録が1回ある女性では、生児出生率が有意に高かったことが示された。これらの結果を踏まえて著者は「低用量アスピリンは流産予防には推奨されない」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年4月1日号掲載の報告より。
流産経験がある妊娠を望む女性を対象に無作為化二重盲検プラセボ対照試験
試験は、2007年6月15日~2011年7月15日に米国内4施設で、18~40歳の妊娠を望む女性を対象に行われた多施設共同二重盲検ブロック無作為化プラセボ対照試験であった。試験参加者は、当初は前年に20週未満で流産した女性のみを適格としたが、その後、適格条件を拡大し、1~2回の流産経験がある女性とした。
被験者は施設および適格条件ごとに1対1の割合で2群に割り付けられ、一方には、毎日最長6ヵ月(月経周期)の間、低用量アスピリン(81mg/日)+葉酸が、もう一方にはプラセボ+葉酸が投与された。妊娠した女性には妊娠36週まで試験薬投与が続けられた。なお、被験者、試験スタッフおよび試験担当医は、投与の割り付けについては知らされなかった。
主要アウトカムは生児出生率で、intention to treatにて評価した。
出産、流産ともに有意な関連はみられなかったが…
試験期間中に1,228例の女性が無作為化を受け、1,078例が試験を完了した。そのうち低用量アスピリン群は535例、プラセボ群は543例だった。
結果、生児出生率は、低用量アスピリン群309例(58%)、プラセボ群286例(53%)だった。絶対差は5.09ポイント(95%信頼区間[CI]:-0.84~11.02)で、有意差はみられなかった(p=0.0984)。
流産をした人についても、それぞれ68例(13%)、65例(12%)で、有意差はみられなかった(p=0.7812)。
一方、前年に20週未満で流産した女性群における生児出生率は、それぞれ151/242例(62%)、133/250例(53%)で、有意差がみられた(p=0.0446)。しかし、拡大適格条件群では、それぞれ158/293例(54%)、153/293例(52%)で、有意差はみられなかった(p=0.7406)。
主要有害イベントの発生は、両群で同程度であった。低用量アスピリンは、膣出血と関係していたが、流産とは関連していなかった。