フリードライヒ運動失調症に次世代ニコチンアミドが有望/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2014/05/14

 

 脊髄小脳変性症に類するフリードライヒ運動失調症に対して、ヒストン脱アセチル阻害薬ニコチンアミド(ビタミンB3)の高用量投与が有望であることが報告された。フリードライヒ運動失調症は遺伝性の進行性変性障害で、フラタキシン(FXN)タンパク質の変異に起因する。FXN遺伝子のイントロン1内に存在するGAAのリピートが伸長することで、ヘテロクロマチン形成と遺伝子転写のサイレンシングに結びつくが、前臨床においてニコチンアミドが、ヘテロクロマチン形成を再構築し、FXN発現を上方制御することが示されていた。それらを踏まえて英国・ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのVincenzo Libri氏らは、フリードライヒ運動失調症へのニコチンアミドの有効性と安全性を評価する探索的非盲検用量増加試験を行った。Lancet誌オンライン版2014年5月1日号掲載の報告より。

エピジェネティクスおよび神経学的な有効性と安全性を評価
 試験は、男女18歳以上のフリードライヒ運動失調症患者に対する、高用量ニコチンアミドのエピジェネティクスおよび神経学的な有効性と安全性を評価することを目的に、3相にわたって行われた。フェーズ1では、0、2、4、6、7、8g/日の経口ニコチンアミドを単回投与し、投与後24時間にわたって観察。フェーズ2では、2~8g/日を5日間連続投与し、フェーズ3ではフェーズ2までに判明した各患者の1日最大投与量を8週間にわたって投与した。

 主要アウトカムは、FXN発現の上方制御とした。また、安全性と忍容性について評価し、FXN遺伝子座のクロマチン構造の変化を調べ、さらにニコチンアミド治療の効果について運動失調症の臨床尺度を用いた評価も行った。

用量依存的にエピジェネティクスな変化をもたらすことを確認
 結果、ニコチンアミドの忍容性は概して良好であった。主要有害事象は悪心で、大半が軽度であり、用量依存的にみられ、自然にあるいは用量減量後、嘔吐薬を服用後に消失した。

 フェーズ1の結果では、ベースライン時から投与後8時間までに、用量依存的にFXNタンパク質量が増大する変化がみられた(p=0.0004)。ベイズ解析により、3.8gで1.5倍、7.5gで倍量に増大するとの予測が示された。

 フェーズ2、3の結果からは、1日投与量3.5~6gが持続的かつ有意にFXN発現の上方制御に結びつくことが示された(p<0.0001)。また、FXN遺伝子座のヘテロクロマチンも減少していた。

 なお、臨床尺度による有意な変化はみられなかった。