未治療のC型肝炎ウイルス(HCV)遺伝型1型感染患者への治療として、リバビリンを用いないABT-450+リトナビル(ABT-450/r)+ダサブビルの12週治療が、高い持続性ウイルス学的著効(SVR)を達成したことが示された。オーストリア・ウィーン大学医学部のPeter Ferenci氏らが2件の第III相無作為化試験の結果、報告した。また、ウイルス学的失敗の割合は、リバビリンを用いるよりも用いなかったほうが、HCV遺伝型1a型感染患者では高かったが、1b型感染患者では示されなかったという。NEJM誌オンライン版2014年5月4日号掲載の報告より。
遺伝子型1a型、1b型患者それぞれを対象に2つの第III相試験
先行研究により、リバビリンの有無にかかわらず、ABT-450/r+オムビタスビル+ダサブビルの非インターフェロン治療は、SVR達成など有効であることが第II相試験で示されている。
研究グループは、肝硬変のない未治療のHCV遺伝子1型感染患者を対象に、同レジメンの有効性と安全性を評価する2件の第III相試験「PEARL-III」「PEARL-IV」を行った。
PEARL-IIIは、遺伝子型1b型のHCV感染患者429例を対象とし、PEARL-IVでは同1a型患者305例を対象とし、それぞれABT-450/r+オムビタスビル(ABT-450 150mg、リトナビル100mg、オムビタスビル25mg)+ダサブビルと、リバビリンを投与または非投与(プラセボ)の群に無作為に割り付けて12週間の治療を行った。具体的には、1b型患者は、+リバビリン群210例、+プラセボ群209例、1a型患者はそれぞれ100例、205例に割り付けられた。
主要有効性エンドポイントは、治療終了後12週間のSVR(HCV RNA値25 IU/mL未満)の達成とした。
SVR達成はいずれも高率、リバビリンを用いない1a型患者でSVRの失敗例が顕著
SVRの達成率は、いずれの遺伝子型患者群においても高率であった。1b型患者群では、+リバビリン群99.5%、+プラセボ群99.0%、1a型患者群では97.0%、90.2%であった。
また、1b型患者群では、治療後12週間のウイルス学的失敗は1例、2例についてはデータが入手できなかった。1a型患者では、リバビリンを用いないレジメンのほうが、ウイルス学的失敗が高率だった(7.8%vs. 2.0%)。
2試験ともに、ヘモグロビン値の減少が、リバビリンを受けている患者にいずれも顕著にみられた。2例の患者(0.3%)が有害事象のために試験薬を中断した。最も頻度が高かった有害事象は、疲労、頭痛、悪心であった。