重症鎌状赤血球症への骨髄非破壊的同種造血幹細胞移植(HSCT)は、生着率が87%に上ることが、米国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK)のMatthew M. Hsieh氏らによる検討の結果、判明した。HSCTは、小児の重症鎌状赤血球症では治療効果が認められていた。しかし、成人患者については有効性、安全性が確立されていなかった。JAMA誌2014年7月2日号掲載の報告より。
30例を対象に骨髄非破壊的同種造血幹細胞移植、1年後のアウトカムを評価
研究グループは、2004年7月16日~2013年10月25日にかけて、16~65歳の重症鎌状赤血球症の患者30例を対象に、ヒト白血球抗原(HLA)適合の兄弟姉妹によるHSCTを行った。被験者の中には、サラセミアが認められる患者もいた。
主要評価項目は、移植1年後の鎌状赤血球症患者のドナー型ヘモグロビンへの完全変換と、サラセミア患者の輸血非依存性だった。
副次評価項目は、ドナーの白血球キメラ現象の程度、急性・慢性移植片対宿主病発生率、鎌状赤血球‐サラセミア病の無病生存率などだった。
患者15例が免疫反応抑制剤の服用を中止
被験者30例のうち1例は再発後の頭蓋内出血で死亡した。残る29例の生存期間中央値は3.4年(1~8.6年)だった。
2013年10月時点で、急性・慢性移植片対宿主病を有さず長期安定的ドナー生着が認められたのは26例(87%)だった。骨髄キメラ率は86%(95%信頼区間[CI]:70~100%)だった。
ドナーT細胞平均値は48%(95%CI:34~62%)で、移植を受けた患者の15例で安定的ドナーのキメラ現象が続き、移植片対宿主病もなく、免疫反応抑制剤の服用を中止した。
また、年平均入院率についても、移植前年が3.23(95%CI:1.83~4.63)だったのに対し、移植後1年目が0.63(同:0.26~1.01)、2年目は0.19(同:0~0.45)、3年目は0.11(同:0.04~0.19)だった。
なお、重度有害事象の発生は38件だった。疼痛や関連処置、感染症、腹部事象、シロリムス関連の毒性作用などが報告されている。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)