PSA検診は有用か:13年後の比較/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2014/08/22

 

 前立腺がん(PSA)検診の有効性に関して評価するヨーロッパ前立腺がん検診の無作為化試験(ERSPC)のフォローアップ13年時点の成績が発表された。これまで検診9年後、11年後において、前立腺がん死亡の有意な減少が報告されていたが、今回もさらなる減少が確認され、大幅な有効性の増大が認められたという。オランダ・エラスムス大学医療センターのFritz H Schroder氏らERSPC研究チームが報告した。しかしながら著者は、「今回の結果にかかわらず、住民ベースのスクリーニング導入の前提条件として、さらなる検診の有害性の定量化と減少が検討されなければならない」とまとめている。9年、11年時に有効性が示された時も、過剰診断といった有害イベントを理由にスクリーニングの実施については論争の的となっていた。Lancet誌オンライン版2014年8月7日号掲載の報告より。

ヨーロッパ8ヵ国で55~69歳のスクリーニング群vs. 非介入群を評価
 ERSPCは、ヨーロッパ8ヵ国で事前規定に基づき収集されたデータベースを分析し行われた多施設共同無作為化試験。50~74歳の男性を試験適格として集団レジストリから特定し、コア年齢層(55~69歳)について評価を行った。

 被験者は、コンピュータを用いて無作為にスクリーニング群と非介入(対照)群に割り付けられフォローアップを受けた。

 主要アウトカムは、コア年齢層における前立腺がん死亡率であった。解析はintention to treatにて行い、非参加の選択バイアスに関して修正した副次解析も行った。

前立腺がん死亡回避、検診受診781人につき1人
 フォローアップ13年時点で、スクリーニング群では7,408例、対照群で6,107例の前立腺がんが診断された。

 前立腺がんの両群の発生率比は、9年時点1.91(95%信頼区間[CI]:1.83~1.99)、11年時点1.66(同:1.60~1.73、13年時点1.57(同:1.51~1.62)だった(9年時点について、発生率データのみが報告されていたフランスを含むと1.64)。

 前立腺がん死亡率比は、それぞれ0.85(同:0.70~1.03)、0.78(同:0.66~0.91)、0.79(同:0.69~0.91)だった。

 13年時点の前立腺がん死亡の絶対的リスクの減少は1,000人年当たり0.11(無作為化男性1,000人当たり1.28)で、スクリーニングを受けた男性781人(95%CI:490~1,929)につき1人の割合で、または前立腺がんの検出27例(同:17~66)につき1例の割合での前立腺がん死亡の回避に相当するものであった。

 なお非参加について補正後、スクリーニング群の前立腺がん死亡率は0.73(95%CI:0.61~0.88)だった。

(武藤まき:医療ライター)