PCI予定での抗凝固療法、ヘパリン vs ビバリルジン/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2014/09/05

 

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行予定患者への抗凝固療法について、ヘパリンベースと比べてビバリルジン(国内未承認)ベースのレジメンは、心筋梗塞およびステント血栓症のリスクを増大するが、出血リスクは低下することが、メタ解析の結果、示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のMatthew A Cavender氏らが報告した。ただし出血リスクの低下は、糖蛋白IIb/IIIa阻害薬(GPI)併用の有無によって大きく変化し、使用が想定される試験や予定されていた試験を解析対象に含んだ分析では、同リスクの低下についてレジメン間に有意差はみられなかったという。ビバリルジンは、PCI施行患者においてヘパリンに代わりうる選択肢とされている。Lancet誌2014年8月16日号掲載の報告より。

16試験、3万3,958例のデータをメタ解析
 研究グループは、虚血性および出血アウトカムに関し、それぞれをベースとした抗凝固療法の有効性を明らかにするメタ解析を行った。

 Medline、Cochrane Libraryほか関連学会抄録を検索し(2014年4月9日時点)、PCI予定患者についてビバリルジンvs. ヘパリンベース療法を比較検討した無作為化試験を特定し分析した。

 主要有効性エンドポイントは、30日時点での主要有害心イベント(MACE)発生率とした。副次有効性エンドポイントは、死亡、心筋梗塞、虚血による血行再建術、ステント血栓症などだった。ランダムエフェクトモデルを用いて、プールリスク比および95%信頼区間[CI]を算出し評価した。

 検索により解析には16試験、3万3,958例のデータを組み込んだ。そのうちMACE発生は2,422例、重大出血発生は1,406例で認められた。

ビバリルジン群でMACEリスク増大、大出血リスクは低下もGPI併用に依存
 結果、MACEリスクの増大は、ビバリルジンベース療法がヘパリンベース療法よりも有意に認められた(リスク比:1.09、95%CI:1.01~1.17、p=0.0204)。リスクの上昇は、主に心筋梗塞の増大によるもので(同:1.12、1.03~1.23)、また虚血による血行再建術による影響も認められた(同:1.16、0.997~1.34)。死亡への影響はみられなかった(同:0.99、0.82~1.18)。

 ビバリルジンベース療法では、ステント血栓症リスクの増大も認められた(リスク比1.38、95%CI:1.09~1.74、p=0.0074)。主にST上昇型心筋梗塞の急性例での増大がリスクの増大に影響していた(同:4.27、2.28~8.00、p<0.0001)。

 なおビバリルジンベース療法では大出血リスクが、全体解析では有意な低下がみられた(リスク比:0.62、95%CI:0.49~0.78、p<0.0001)。しかしGPI併用の有無による変動が大きく(p<0.0001)、併用使用がヘパリンベース療法群のみで優勢に認められた場合は有意な低下がみられたが(同:0.53、0.47~0.61、p<0.0001)、両療法群での使用が想定される試験(同:0.78、0.51~1.19、p=0.25)、予定されていた試験(同:1.07、0.87~1.31、p=0.53)を組み込んだ分析では、いずれも有意な低下はみられなかった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)