薬剤感受性結核に対し、モキシフロキサシン(商品名:アベロックス)ベースレジメンの短期4ヵ月投与について検討した試験の結果、対照レジメンと比較し治療効果の非劣性は示されなかったことが報告された。英国セント・アンドルーズ大学医学部のStephen H. Gillespie氏らが行った、第III相無作為化試験の結果、明らかにされた。これまでに行われた初期フェーズおよび前臨床試験の結果、モキシフロキサシンベースのレジメンは4ヵ月治療について検討可能であることが示唆されていた。NEJM誌オンライン版2014年9月7日号掲載の報告より。
モキシフロキサシンベースのレジメン2種を従来レジメンと比較
Gillespie氏らは、先行試験で検討可能な対象として示唆されていた、合併症のない薬剤感受性塗抹陽性肺結核で未治療の18歳以上患者1,931例を対象に、第III相の無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った。モキシフロキサシンベースのレジメン2種について対照レジメンに対する非劣性を評価した。
第1グループ(対照群)には、イソニアジド、リファンピン、ピラジナミド、エタンブトールを8週間投与し、その後イソニアジドとリファンピンを18週間投与した。第2グループ(イソニアジド群)には、対照群レジメンのエタンブトールの代わりにモキシフロキサシンとしたレジメンを17週間投与し、その後9週間はプラセボを投与した。第3グループ(エタンブトール群)には、対照群レジメンのイソニアジドをモキシフロキサシンに代えて17週間投与し、その後9週間はプラセボを投与した。
主要エンドポイントは、無作為化後18ヵ月以内の治療不成功または再発とした。
モキシフロキサシンレジメン、従来レジメンより良好なアウトカムは低率
per-protocol解析の結果、良好な治療結果が得られたのは、イソニアジド群では85%、エタンブトール群では80%と、対照群の92%より低率だった。対照群との差は、イソニアジド群が6.1ポイント(97.5%信頼区間:1.7~10.5ポイント)、エタンブトール群が11.4ポイント(同:6.7~16.1ポイント)だった。
結果は、修正intention-to-treat解析、全感度解析でも一貫してみられた。
一方、培養陰性までの所要日数は、対照群に比べイソニアジド群とエタンブトール群で有意に短縮していた。
またグレード3または4の有害事象の発生率は、イソニアジド群19%、エタンブトール群17%、対照群19%であり、有意差はみられなかった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)