ヨウ素131治療抵抗性の進行性甲状腺がんに対し、レンバチニブ(国内承認申請中)は、無増悪生存期間を大幅に延長し、増悪・死亡リスクを約8割低減することが示された。フランス・ギュスターヴ・ルシィ研究所のMartin Schlumberger氏らが第III相無作為化二重盲検多施設試験の結果、報告した。レンバチニブは、血管内皮増殖因子受容体1、2、3、線維芽細胞増殖因子受容体1~4、血小板由来増殖因子受容体α、RET、KITの経口阻害薬で、ヨウ素131治療抵抗性の分化型甲状腺がん患者を対象とした第II相試験で臨床活性を示したことが報告されていた。NEJM誌2015年2月12日号掲載の報告より。
レンバチニブ1日24mgを投与
研究グループは、ヨウ素131治療抵抗性の進行性甲状腺がんの患者392例を対象に、レンバチニブの安全性、有効性について検討した。
被験者を無作為に2群に分け、一方にはレンバチニブ(1日24mg、28日サイクル、261例)を、もう一方にはプラセボ(131例)を投与した。なお、プラセボ群の患者には、病勢の進行が認められた時点でオープンラベルによるレンバチニブ投与が可能だった。
主要評価項目は、無増悪生存期間だった。副次評価項目は、奏効率、全生存期間および安全性などだった。
レンバチニブ群の無増悪生存期間の中央値は18.3ヵ月、プラセボは3.6ヵ月
結果、無増悪生存期間の中央値は、プラセボ群が3.6ヵ月だったのに対し、レンバチニブ群は18.3ヵ月と、有意に延長した(進行または死亡に関するハザード比:0.21、99%信頼区間:0.14~0.31、p<0.001)。
奏効率は、プラセボ群1.5%に対し、レンバチニブ群は64.8%(完全寛解は4例、部分寛解は165例)だった(p<0.001)。
治療に関連した有害事象は、レンバチニブ群の40%で認められ、高血圧(67.8%)、下痢(59.4%)、疲労感または無力感(59%)、食欲減退(50.2%)、体重減少(46.4%)、悪心(41.0%)だった。
薬の有害作用により服用を中止した人は、プラセボ群の3例に対し、レンバチニブ群は37例(14.2%)だった。さらに、レンバチニブ群の死亡20例のうち、レンバチニブに関連した死亡と考えられたのは6例であった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)