米国2011年のClostridium difficile (C. difficile)感染症発生者数の推定値は45万3,000人で、そのうち死亡は推定約2万9,000人に上ることが明らかにされた。米国疾病予防管理センター(CDC)のFernanda C. Lessa氏らが、米国10地域について行った調査で明らかにした。NEJM誌2015年2月26日号掲載の報告より。
米国内10地域で人口・検査室ベースの調査
Lessa氏らは2011年、米国内10地域を対象に、住民および検査室ベースの調査を行い、
C. difficile感染症に関するサーベイを行った。対象者は年齢1歳以上の住民で、検便毒素試験または分子試験により感染が陽性と特定された症例を調べた。
症例について、市中感染と医療ケア関連感染とに分類し、
C. difficile感染症例の検体を培養して分離し、分子タイピングを行った。
回帰モデルを使い、米国内の同感染症発生率や総数、初回再発数、感染診断後30日以内の推定死亡数を推算した。
発生率は女性が男性の約1.3倍、65歳以上が約8.7倍
結果、調査対象の10地域で見つかった
C. difficile感染症は、1万5,461例だった。そのうち65.8%が医療ケア関連感染だったが、入院中に発症した例は24.2%であった。
同感染症発生の予測因子で補正後、米国の新規
C. difficile感染は、推定45万3,000例(95%信頼区間[CI]:39万7,100~50万8,500例)だった。
発生率は女性のほうが男性より高く、率比は1.26(95%CI:1.25~1.27)と推定された。また人種別では白人で高く(率比:1.72、95%CI:1.56~2.0)、65歳以上高齢者も高くなると推定された(同:8.65、8.16~9.31)。
クロストリジウム・ディフィシルの推定初回再発数は8万3,000例(95%CI:5万7,000~10万8,900例)、推定死亡例は2万9,300例(同:1万6,500~4万2,100例)だった。
また、北米パルスフィールドゲル電気泳動1型株(NAP1)の罹患率が、市中感染では18.8%に対し医療ケア関連感染では30.7%と、有意に高かった(p<0.001)。
著者は、「2011年の米国においてクロストリジウム・ディフィシルは、感染症約50万例の原因であり、2万9,000例の死亡と関連していた」とまとめている。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)