身長とCADリスクとの関連が大規模研究で判明/NEJM

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2015/04/24

 

 遺伝的に低身長であることと冠動脈疾患(CAD)リスク増大との関連が、英国・レスター大学のChristopher P Nelson氏らによる大規模な調査の結果、明らかにされた。これまで、身長とCADリスクに負の相関があることは知られていたが、メカニズムについては不明であった。なお、関連の一部は低身長と脂質プロファイル異常との関連で説明されることも示され、著者は、成人身長と動脈硬化の進展プロセスを調べることで、関連の一部を説明できるのではないかと述べている。NEJM誌オンライン版2015年4月8日号掲載の報告より。

身長6.5cm変化とCADリスクとの関連などを調査

 身長とCADの関連を調べる研究は遺伝的アプローチにて、180の身長に関連する遺伝子型を用いて行われた。

 まず、CAD症例6万5,066例と対照12万8,383例で、遺伝的身長1SD(6.5cm)変化ごとのCADリスクとの関連を調べた。また1万8,249人の遺伝子データを用いて、CADリスクと複数の身長関連変異型との関連についても調べた。

 考えられるメカニズムを特定するために、遺伝的に確定されている身長と既知の心血管リスク因子との関連を調べ、身長関連遺伝子の経路分析(pathway analysis)を行った。

6.5cm低下で13.5%リスク増大

 結果、1-SD減少につきCADリスクが13.5%(95%信頼区間[CI]:5.4~22.1、p<0.001)増大することが明らかになった。

 また、高身長遺伝子変異が多いほど、CADリスクは減少する段階的関連性があることも判明した(四分位範囲第4位群vs. 第1位群のオッズ比[OR]:0.74、95%CI:0.68~0.84、p<0.001)。

 検討した12の心血管リスク因子のうち、LDLコレステロール値とトリグリセリド値のみで有意な関連(関連のうち約30%を占める)が観察された。

 また、発育と動脈硬化の両者と関連する遺伝子を含む複数のオーバーラップする経路の特定に至った。

(武藤まき:医療ライター)