ダビガトラン(商品名:プラザキサ)やリバーロキサバン(同:イグザレルト)は、ワルファリンに比べ、消化管出血リスクを増大することはないと思われることが示された。米国・ジョンズホプキンス大学のHsien-Yen Chang氏らが、約4万6,000例のデータを分析した結果、統計的有意差を示すエビデンスは得られなかったという。ただしChang氏らは、「今回の試験結果で、ダビガトランの消化管出血リスクはワルファリンに比べて50%ほど高いということや、リバーロキサバンはワルファリンに比べ同リスクが2倍超高いということを排除はできない」と述べている。BMJ誌オンライン版2015年4月24日号掲載の報告より。
民間医療保険加入者データを後ろ向きに分析
Chang氏らは、米国の民間医療保険加入者の大規模データベースを基に、2010年10月1日~2012年3月31日までに、ダビガトラン、リバーロキサバン、ワルファリンのいずれかを服用した18歳以上の患者、4万6,163例を対象に、後ろ向きコホート試験を行い、消化管出血リスクを比較した。
被験者のうち、ワルファリン群は85.8%、ダビガトラン群は10.6%、リバーロキサバン群は3.6%だった。
また、ダビガトラン群は、リバーロキサバン群、ワルファリン群に比べ、年齢が高齢である傾向が認められた(平均年齢、それぞれ62.0歳、57.6歳、57.4歳)。
ダビガトラン、リバーロキサバンの消化管出血リスク、補正後はワルファリンと同等
消化管出血の発生率は、ダビガトラン群が9.01/100人年で、リバーロキサバン群の3.41/100人年、ワルファリン群7.02/100人年に比べ高かった。
しかし、共変量補正後、ダビガトラン群の消化管出血リスクは、リバーロキサバン群、ワルファリン群と同等だった。ダビガトラン群のワルファリン群に対する補正後ハザード比は1.21(95%信頼区間:0.96~1.53)であり、また、リバーロキサバン群のワルファリン群に対するハザード比は0.98(同:0.36~2.69)だった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)