アミロイドPET陽性率で若年性認知症診断の可能性/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2015/06/05

 

 PET画像診断で検出されたアミロイド陽性率について、アルツハイマー型認知症(AD)の患者では加齢に伴い低下することが、一方、非ADでは、加齢に伴い上昇することが明らかにされた。またAD患者における同低下の程度はアポリポ蛋白E(APOE)ε4非キャリアのほうがキャリアと比べると大きいことなども判明したという。オランダ・アムステルダム自由大学医療センターのRik Ossenkoppele氏らが、メタ解析の結果、明らかにした。所見について著者は、「若年性認知症診断へのアミロイドPETの臨床有用性、および70歳超のAPOEε4非キャリアAD患者の鑑別診断をサポート可能であることを示唆するものである」と述べている。JAMA誌2015年5月19日号掲載の報告より。

2004~2015年の試験結果をメタ解析
 Ossenkoppele氏らは2004~2015年にかけて、MEDLINE、Web of Scienceデータベースを用い、アミロイドPETに関する試験を検索した。ケースレポートや認知症以外の神経学的あるいは精神医学的疾患に関する試験は除外した。
 
その結果、臨床的にADの診断を受けた1,359例、非ADの538例に関するデータが得られた。また参照グループとして、アミロイドPETの結果が正常だった対照群(1,849例)と、剖検結果から診断されたAD例1,369例についても分析を行った。

 主要アウトカムは、診断、年齢、APOEε4の有無別にみた、推定アミロイドPET陽性率だった。

AD患者でAPOEε4非キャリア、アミロイドPET陽性率は50歳で86%、90歳で68%
 アミロイドPET陽性率は、年齢やAPOEε4の有無と関連が認められた。

 AD患者でAPOEε4非キャリア(377例)の場合、アミロイドPET陽性率は、50歳時は86%(95%信頼区間[CI]:73~94%)であったが、90歳時は68%(同:57~77%)と、年齢と共に低下していた。

 AD患者でAPOEε4キャリア(593例)でも、アミロイドPET陽性率は年齢と共に低下したが、50歳時97%(同:92~99%)、90歳時90%(同:83~94%)と、低下の幅は小さかった。

 同様の傾向は、剖検で診断されたAD例でも認められた。

 一方、大半の非ADは、アミロイドPET陽性率が年齢と共に上昇し(60歳時と比べて80歳時)、またAPOEε4キャリアのほうが高率だった。

 レビー小体型認知症でAPOEε4キャリア(16例)は、60歳時63%から80歳時83%に、同非キャリア(18例)は29%から54%への上昇だった。前頭側頭型認知症でAPOEε4キャリア(48例)は、60歳時19%から80歳時43%に、非キャリア(160例)は5%から14%に上昇。血管性認知症でAPOEε4キャリア(30例)は、60歳時25%から80歳時64%に、非キャリア(77例)は7%から29%への上昇だった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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コメンテーター : 岡村 毅( おかむら つよし ) 氏

東京都健康長寿医療センター

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