閉経後骨粗鬆症の女性に対し、骨粗鬆症治療薬テリパラチド(商品名:フォルテオ)2年投与後にデノスマブ(同:プラリア)を2年投与した場合は、股関節部や大腿骨頚部の骨密度は継続的に増加するのに対し、デノスマブ2年投与後にテリパラチドを2年投与した場合の増加率は低下することが報告された。米国・マサチューセッツ総合病院のBenjamin Z. Leder氏らが、すでに実施したデノスマブとテリパラチドに関する無作為化試験「DATA」試験の、予定されていた延長試験として行った「DATA-Switch」の結果、明らかにした。Lancet誌オンライン版2015年7月2日号掲載の報告。
2年投与後に切り替えを行い4年時点の前・後脊椎骨の骨密度の変化率を評価
DATA試験では、閉経後骨粗鬆症の女性94例を無作為に3群に分け、1群にはテリパラチド(1日1回20mg)を、別の群にはデノスマブ(6ヵ月に1回60mg)を、もう1つの群にはその両者を、それぞれ24ヵ月間投与した。DATA試験の結果、テリパラチドとデノスマブの併用は、いずれか一方の単独投与に比べ、骨密度が有意に増大することを示した。
同グループは2011年9月27日~2013年1月28日にかけて、DATA-Switch試験を開始した。DATA試験でテリパラチド群だった被験者はデノスマブを、デノスマブ群はテリパラチドを、併用群にはデノスマブを、それぞれ投与した。
主要評価項目は、4年時点の前・後脊椎骨の骨密度の変化率で、修正intention-to-treat解析で評価した。
脊椎骨密度変化率に群間差はみられなかったが…
その結果、48ヵ月時点の脊椎骨密度の平均変化率は、テリパラチド→デノスマブ群(27例)が18.3%(95%信頼区間:14.9~21.8)、デノスマブ→テリパラチド群(27例)が14.0%(同:10.9~17.2)、併用→デノスマブ群(23例)が16.0%(同:14.0~18.0)と、各群間で有意差はみられなかった(テリパラチド→デノスマブ群 vs.デノスマブ→テリパラチド群のp=0.13、テリパラチド→デノスマブ群 vs.併用群のp=0.30、デノスマブ→テリパラチド群 vs.併用群のp=0.41)。
副次アウトカムの股関節部骨密度変化率は、テリパラチド→デノスマブ群が6.6%、併用→デノスマブ群が8.6%と、デノスマブ→テリパラチド群の2.8%より高率だった(それぞれp=0.0002、p<0.0001、併用→デノスマブ群 vs.テリパラチド→デノスマブ群のp=0.0446)。
同様に大腿骨頚部骨密度変化率についても、テリパラチド→デノスマブ群が8.3%、併用→デノスマブ群が9.1%と、デノスマブ→テリパラチド群の4.9%より高率だった(それぞれp=0.0447、p=0.0336)。なお併用→デノスマブ群 vs.テリパラチド→デノスマブ群の有意差はみられなかった(p=0.67)。
橈骨密度変化率は、テリパラチド→デノスマブ群は0.0%と変わらなかった。デノスマブ→テリパラチド群が-1.8%と減少し、併用→デノスマブ群は2.8%と増加した(テリパラチド→デノスマブ群 vs.併用→デノスマブ群のp=0.0075、デノスマブ→テリパラチド群 vs.併用→デノスマブ群のp=0.0099)。
デノスマブ→テリパラチド群の1例で、治療に関連すると思われた腎結石が認められた。
以上の結果を踏まえて著者は、「閉経後骨粗鬆症患者の導入および継続治療について、これらの結果を考慮するべきだろう」と指摘している。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)