不活化単価H7N9インフルエンザワクチンについて、AS03およびMF59アジュバント製剤の2回接種が免疫応答を高めること、最も高力価を示したのはAS03アジュバント製剤であったことが、米国・Group Health Research InstituteのLisa A. Jackson氏らによる第II相二重盲検無作為化試験の結果、報告された。JAMA誌2015年7月21日号掲載の報告より。
2種のアジュバントありなしや混合接種などについて免疫原性と安全性を評価
研究グループは、不活化単価H7N9インフルエンザワクチンの免疫原性と安全性について、AS03アジュバントありなしならびに接種スケジュールを混合、またアジュバント製剤と非アジュバント製剤を比較する評価を行った。
試験は、米国5地点で2013年9月~2013年11月に、19~64歳の成人980例を登録して行われた。安全性については2015年1月まで追跡した。
被験者へのH7N9ワクチン接種は、回数は0、21日の2回、名目接種用量は3.75、7.5、15、45μgの各用量にて行われ、AS03またはMF59アジュバントのありなし、接種の混合(1回目と2回目で異なるアジュバント製剤を接種など)が行われた。
主要評価項目は、2回接種後21日時点で赤血球凝集抑制抗体(HIA)力価が40超に達した患者の割合とした。また、初回接種から12ヵ月間のワクチン関連の重大有害事象、7日間でみられた反応や症状を調べた。
AS03アジュバント製剤2回接種が最も高力価
結果、2回接種により患者の大半で抗体価検出が可能となった。
40超のHIA力価達成割合は、いずれも15μg量2回接種の、アジュバントなし製剤で2%(95%信頼区間[CI]:0~7%、94例)に対し、AS03アジュバントあり製剤は84%(同:76~91%、96例)、MF59あり製剤は57%(同:47~68%、92例)であった(AS03およびMF59の比較のp<0.001)。
AS03およびMF59アジュバントを混合接種した場合は、幾何学平均力価(GMT)の低下が認められた。1回目にAS03アジュバントを接種し2回目にMF59アジュバントを接種した場合(92例)の接種後21日時点のGMTは41.5(95%CI:31.7~54.4)であった。また、1回目MF59アジュバント、2回目AS03アジュバントの場合(96例)は58.6(同:44.3~77.6)で、いずれも2回ともAS03アジュバントを接種した場合(96例、103.4、95%CI:78.7~135.9)よりも有意に低値であった(p<0.001)。しかし、2回ともMF59アジュバントを接種した場合(94例、29.0、22.4~37.6)と比べると有意に高値であった(p<0.001)。
結果を踏まえて著者は、「今回の試験結果は、接種で混合した場合を含む2つのアジュバントを用いたインフルエンザワクチン製剤について、インフルエンザパンデミック準備プログラムに有益な免疫原性情報を提供するものである」とまとめている。
(武藤まき:医療ライター)