2~16歳児を接種対象とした長期サーベイランス中のデング熱ワクチン(遺伝子組み換え型生減弱4価タイプ:CYD-TDV)について、3年時点の中間解析結果が発表された。同期間中の全被験者リスクは、ワクチン接種群が対照群よりも低下したが、9歳未満児で原因不明の入院リスクの上昇がみられたという。インドネシア大学のSri Rezeki Hadinegoro氏らCYD-TDVデング熱ワクチンワーキンググループが、アジア太平洋およびラテンアメリカでそれぞれ行われている3件の無作為化試験の結果を統合分析して報告した。NEJM誌オンライン版2015年7月27日号掲載の報告。
2~16歳児3万5,000例超を対象にサーベイランス進行中
デング熱ワクチンは現在、両地域の2~16歳児3万5,000例超を対象とした3件の臨床試験が行われている。2件は第III相無作為化試験で、アジア太平洋地域で2~14歳児を(CYD14試験)、ラテンアメリカで9~16歳児を(CYD15試験)対象とし、計3万1,000例超が参加。ワクチンの接種は3回(0、6ヵ月、12ヵ月)で、25ヵ月間(接種完了後13ヵ月)の有効性サーベイランスフェーズの評価後、長期フォローアップフェーズ(接種後3~6年)に移行し、安全性の評価(ウイルス学的に確認されたデング熱による入院発生をエンドポイント)が行われている。
もう1件はタイ共和国の1施設で行われている第IIb相の試験で、方法は同様に4~11歳4,002例が参加し(CYD23試験)、その後4年間のフォローアップフェーズでの安全性評価が行われている(CYD57)。
研究グループは、25ヵ月時点のプールデータから、ワクチンの有効性について分析した。
入院発生の相対リスク、9歳以上0.50に対して9歳未満は1.58、全年齢は0.84と低下
分析データは、CYD14試験の被験者1万275例中1万165例(99%)、CYD15試験は2万869例中1万9,898例(95%)、およびCYD23試験(4,002例)からCYD57試験に組み込まれた3,203例(80%)について入手できた。
統合解析の結果、ウイルス学的入院が確認できたデング熱症例は、ワクチン接種群2万2,177例中65例、対照群1万1,089例中39例であった。対照群との比較による接種群のプール相対リスクは、全被験者では0.84(95%信頼区間[CI]:0.56~1.24)だった。ただし9歳未満では1.58(同:0.83~3.02)、9歳以上では0.50(同:0.29~0.86)で9歳未満での発生が高率だった。
また、独立モニタリング委員会の定義による重症のデング熱入院例は、3年間でワクチン接種群2万2,177例中18例、対照群1万1,089例中6例であった。
25ヵ月間の症候性デング熱に対するワクチンのプール有効率は、全被験者60.3%(95%CI:55.7~64.5)、9歳以上では65.6%(同:60.7~69.9)、9歳未満は44.6%(同:31.6~55.0)であった。
著者は、「2~16歳児のリスクは、対照群よりも接種群で低下が認められた。しかし、原因は不明だが9歳未満において3年間のデング熱入院発生率が高く、長期フォローアップでの注意深い観察が必要である」とまとめている。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)