超早産児の低酸素血症の予後に影響する因子/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2015/08/28

 

 超早産児は生後数週間にわたり間欠性の低酸素血症や徐脈を経験する可能性がある。これまでその予後については不明であったが、ドイツ・テュービンゲン大学病院のChristian F. Poets氏らによるCanadian Oxygen Trialの事後解析から、月経後年齢(postmenstrual age)36週まで生存した超早産児において、生後2~3ヵ月に発生した1分以上の低酸素エピソードのみが、生後18ヵ月間の有害転帰と有意に関連していることが明らかにされた。この結果について著者は、「今後の研究でも同様の所見が認められれば、そのようなエピソードを予防するための検討が必要になる」とまとめている。JAMA誌2015年8月11日号掲載の報告より。

Canadian Oxygen Trialの事後解析で検討
 研究グループはCanadian Oxygen Trialの事後解析により、間欠性低酸素血症または徐脈と、その後の死亡および障害との関連を調べた。対象は、カナダ、米国、アルゼンチン、フィンランド、ドイツ、イスラエルの25病院で、2006年12月~2010年8月に誕生した在胎月齢は23週0日~27週6日、月経後年齢36週まで生存が認められた新生児1,019例であった。

 2008年10月~2012年8月に追跡評価を行い、10秒間以上の低酸素エピソード(パルスオキシメーター酸素飽和度[SpO2]80%未満)または徐脈(80拍/分未満)を調べた。サンプリングは、生後最低36週間にわたり24時間、10秒ごとに行われた。

 主要アウトカムは、月経後年齢36週後の死亡、修正月齢18ヵ月時の運動機能障害、認知または言語発達遅滞、重度難聴、両眼失明であった。副次アウトカムは、運動機能障害、認知または言語発達遅滞、重度未熟児網膜症などであった。

低酸素曝露が長時間の場合にリスク増大
 SpO2、脈拍データが記録された期間中央値は68.3日(四分位範囲:56.8~86.0日)であった。

 低酸素血症の平均記録時間割合は、最低10%分位群で0.4%、最高10%分位群で13.5%であった。徐脈についてはそれぞれ0.1%、0.3%であった。

 主要アウトカムの確認は972例で行われ、414例(42.6%)で発現が認められた。

 低酸素エピソードは、月経後年齢36週後の死亡リスクまたは生後18ヵ月時の障害リスクの増大と関連しており、低酸素曝露最高位群56.5%に対し、最低位群は36.9%(モデル相対リスク:1.53、95%信頼区間[CI]:1.21~1.94)であった。この関連について、低酸素エピソードの持続時間で検討した場合、1分以上の場合にのみ有意であった(相対リスク:1.66、95%CI:1.35~2.05、p=0.001 vs.エピソード1分未満の短時間の相対リスク:1.01、95%CI:0.77~1.32、p=0.44)。

 副次アウトカムについても同様に、すべての相対リスクが、低酸素曝露が長時間の場合に増大がみられた。

 徐脈による、低酸素血症の予後への影響はみられなかった。

(武藤まき:医療ライター)