リードレスペースメーカーの有用性、9割で確認/NEJM

リードレス心臓ペースメーカーの有用性が、市販後調査試験LEADLESS IIの中間解析の結果から報告された。3ヵ国56施設で526例を登録して行われた、前向き非無作為化試験の登録初期300例のうち9割の患者で、事前規定の6ヵ月時点のペーシング閾値および感知振幅の達成が確認されたという。装置関連の重篤有害事象の発生は、患者15例につき1件の頻度であった。ペースメーカーは装置関連の合併症、とくに感染症および電源供給のリード線に関連した問題により限界が指摘されていた。NEJM誌オンライン版2015年8月30日号掲載の報告より。
埋設後6ヵ月時点の有効性と安全性を評価
LEADLESS IIは、永久的な心室単腔ペーシングを必要とする患者を対象に、Nanostim(セント・ジュード・メディカル社製)の有効性と安全性について検討した試験。同装置は、FDA承認の小型化された完全植込み型リードレスペースメーカーで、カテーテルにより非侵襲的に埋設が可能である。試験では、主要有効性エンドポイントを、6ヵ月間の容認可能な、ペーシング閾値(0.4msec時2.0V以下)および感知振幅(R波5.0V以上、または埋設時と同等もしくはそれ以上)とした。主要安全性エンドポイントは、6ヵ月間の装置関連重篤有害事象の未発生とした。
主要エンドポイントの解析は、6ヵ月間のフォローアップが完了した登録初期300例(主要コホート)のデータについて行うこととあらかじめ規定され、分析目標の有効性エンドポイントは85%のデータについて、安全性エンドポイントは86%と規定されていた。
また、付加的アウトカムの評価が、2015年6月時点で登録されていた全被験者526例(全コホート)について行われた。
装置関連重篤有害事象は6.7%
全コホート526例におけるリードレスペースメーカーの埋設成功例は、504例であった(95.8%)。主要コホート300例における、intention-to-treat解析による主要有効性エンドポイントの達成者は270例であった(90.0%、95%信頼区間[CI]:86.0~93.2、p=0.007)。
同様に主要安全性エンドポイントの達成者は280例であった(93.3%、95%CI:89.9~95.9、p<0.001)。
6月時点で、装置関連重篤有害事象が観察されたのは、6.7%であった。内訳は、経皮的除去(1.7%)、心穿孔(1.3%)、ペーシング閾値上昇で経皮的除去および装置の再埋設を要した(1.3%)であった。
(武藤まき:医療ライター)
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