乳児の細気管支炎、SpO2値90%でもアウトカム良好/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2015/10/01

 

 細気管支炎で入院した乳児の酸素飽和度(SpO2)目標値は、90%でも、94%とその治療効果や安全性は同等であることが判明した。英国・エジンバラ大学のSteve Cunningham氏らが細気管支炎の乳児615例を対象に行った、二重盲検無作為化同等性試験の結果、報告された。同目標値について、米国小児科学会やWHO(世界保健機構)では90%としている。しかし、その裏付けとなるエビデンスはなかった。Lancet誌2015年9月12日号掲載の報告より。

小児病院8ヵ所に入院した生後6週~12ヵ月の乳児について試験
 研究グループは2012年3月~13年3月に、英国8ヵ所の小児病院に入院した、生後6週~12ヵ月の細気管支炎の乳児615例を対象に試験を行った。SpO2目標値が90%以上の場合と94%以上の場合で、そのアウトカムが同等であるかどうかを検証した。

 一方の群(308例)には標準オキシメータを用いてSpO2 94%未満で酸素投与を行い、もう一方の群(307例)は、投与値が90%の際に94%と表示されるオキシメータを使い、90%未満で酸素が投与された。

 患者の両親や臨床スタッフ、アウトカム評価者は全員、被験者の割り付けについて知らされなかった。

咳消失までの日数中央値は、両群ともに15.0日
 その結果、咳が消失するまでの日数中央値は、両群とも15.0日(両群の差に関する95%信頼区間:-1~2)で、同等であることが示された。

 重篤有害事象については、94%群35件(32例)、90%群25件(24例)で報告された。

 94%群では、重症ケア室に入室となった患者は8例、再入院は23例、長期入院は1例だった。90%群では、重症ケア室に入室となった患者は12例、再入院は12例だった。

 これらの結果を踏まえて著者は、「酸素飽和度の目標値が90%でも、94%とその安全性と臨床効果は同等だった」と結論。そのうえで、「とくに医療資源の限られている発展途上国を対象に、より年齢の高い小児について、同目標値の違いによるベネフィットとリスクについての評価を行うべきだろう」と提言している。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)