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悪性胸水の治療でNSAIDsは回避すべきか/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2016/01/15

 

 胸膜癒着術を受けた悪性胸水患者に対し非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用しても、オピオイド使用と比べ疼痛について有意差は認められなかったことが報告された。NSAIDs群では鎮痛薬のレスキュー使用が多くみられたが、3ヵ月時点の評価で胸膜癒着術の有効性については非劣性であったという。英国・オックスフォード大学のNajib M. Rahman氏らが第III相無作為化試験を行い報告した。試験では、胸腔チューブサイズの違い(12F vs.24F)による影響についても調べ、その結果、12Fサイズのほうが統計的に有意だが臨床的にはわずかな疼痛緩和をもたらすこと、ただし、胸膜癒着術の有効性に関する非劣性基準は満たさなかったことが示された。悪性胸水の治療において、NSAIDsは胸膜癒着術の効果を減弱するとして使用が回避されている。また胸腔チューブは細いものほうが疼痛を緩和するかもしれないが、胸膜癒着術の効果が得られないとされていた。JAMA誌2015年12月22・29日号掲載の報告。

NSAIDs vs.オピオイド、12F vs.24Fの疼痛および胸膜癒着術への影響を評価

 試験は2007~13年に英国の16病院で、胸膜癒着術を要する患者320例を対象に行われた。

 2×2要因試験デザインを用い、被験者のうち胸腔鏡検査を受ける206例(臨床的および診断の必要性に基づき決定)には24Fサイズの胸腔チューブを用い、オピオイド(アヘン製剤、103例)またはNSAIDs(103例)を投与する群に無作為に割り付けた。一方、胸腔鏡検査を受けない114例は、次の4つのうちの1群に無作為に割り付けた。(1)24Fを用いオピオイド投与(28例)、(2)24Fを用いNSAIDs投与(29例)、(3)12Fを用いオピオイド投与(29例)、(4)12Fを用いNSAIDs投与(28例)。

 主要評価項目は、胸腔チューブ留置時の疼痛(視覚アナログスケール[VAS]0~100mmを用い4回/日評価、優越性比較)、3ヵ月時点での胸膜癒着術の有効性(さらなる胸膜介入を要した場合は失敗と定義、非劣性比較、マージン15%)とした。

NSAIDs:疼痛の有意差なし、手術失敗は非劣性

 結果、オピオイド投与群(150例)とNSAIDs投与群(144例)に有意な差は認められなかった。平均VASスコアは23.8mm vs.22.1mm、補正後差は-1.5mm(95%信頼区間[CI]:-5.0~2.0mm、p=0.40)だった。しかし、NSAIDs群は鎮痛薬のレスキュー使用が有意に多かった(26.3% vs.38.1%、率比:2.1、95%CI:1.3~3.4、p=0.003)。胸膜癒着術の失敗は、オピオイド群30例(20%)、NSAIDs群33例(23%)であり、非劣性の基準を満たした(差:-3%、片側95%CI:-10%~∞、非劣性のp=0.004)。

 12F胸腔チューブ群(54例)と24F群(56例)を比較した疼痛スコアは、12F群が有意に低かった(VASスコア:22.0mm vs.26.8mm、補正後差:-6.0mm、95%CI:-11.7~-0.2mm、p=0.04)。しかし12F群のほうが胸膜癒着術の失敗率が高く(30% vs.24%)、非劣性基準を満たさなかった(差:-6%、片側95%CI:-20%~∞、非劣性のp=0.14)。留置中の合併症の発生は12F群で高頻度であった(14% vs.24%、オッズ比:1.91、p=0.20)。