再発を繰り返す難治性クロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)の治療として、便微生物移植(FMT)が有望視されているが、新鮮FMTの即時入手ができず介入に困難を来している。カナダ・マックマスター大学のChristine H. Lee氏らは、凍結-解凍タイプのFMT利用の可能性を探るため、新鮮FMTと比較する無作為化試験を行った。その結果、凍結FMTを用いた場合も、下痢症状の解消について非劣性であることが示され、著者は、「凍結FMTの使用は選択肢となることが示された」と報告している。JAMA誌2016年1月12日号掲載の報告。
無作為化二重盲検非劣性試験で13週時点の下痢の解消を評価
試験は、2012年7月~14年9月に、カナダの6つの大学医療センターで行われた。被験者は、再発を繰り返す難治性CDIの成人患者232例。無作為化二重盲検非劣性試験法にて、凍結FMT(114例)が新鮮FMT(118例)に対して、臨床的有効性で非劣性(マージン15%)であるかについて調べた。また、両タイプのFMTの安全性についても評価した。
主要評価項目は、13週時点の臨床的下痢の解消で、再発なしと認められた患者の割合および有害事象であった。
per-protocol集団、修正ITT集団の解析ともに非劣性
修正intention-to-treat(ITT)集団(凍結FMT群108例、新鮮FMT群111例の計219例を包含)、およびper-protocol集団(凍結FMT群91例、新鮮FMT群87例の計178例を包含)について評価した。
per-protocol集団では、臨床的下痢の解消が認められたのは、凍結FMT群83.5%、新鮮FMT群85.1%であった(差:-1.6%、95%信頼区間[CI]:-10.5~∞、非劣性のp=0.01)。
修正ITT集団では、それぞれ75.0%、70.3%であった(差:4.7%、95%CI:-5.2~∞、p<0.001)。
有害事象または重篤有害事象の発生は、両群で差はみられなかった。