インスリン グラルギンとメトホルミンによる治療中でコントロール不良の2型糖尿病患者に対し、インスリン デグルデク/リラグルチド治療はインスリン グラルギン増量治療と比べて、26週時点の評価でHbA1c値の低下値について非劣性が確認され、2次解析によりその値が有意に大きかったことが確認された。米国・テキサス大学のIldiko Lingvay氏らが、2型糖尿病患者557例について行った第III相無作為化非盲検比較試験の結果、示された。JAMA誌2016年3月1日号掲載の報告。
26週後のHbA1c値、体重などの変化を比較
研究グループは、2013年9月~14年11月に10ヵ国75ヵ所の医療機関を通じて、2型糖尿病でインスリン グラルギン(20~50U)とメトホルミン(1,500mg/日以上)治療中だが、HbA1c値が7~10%とコントロール不良の、BMI40以下の患者557例を対象にtreat-to-target法にて試験を行った。
被験者を無作為に2群に分け、一方にはインスリン デグルデク/リラグルチド(278例、最大投与量:デグルデク50U/リラグルチド1.8mg)の治療を行い、もう一方にはインスリン グラルギンを目標血糖値72~90mg/dLで週2回増量する治療(279例、最大投与量設定なし)を行った。
主要評価項目は、26週後のHbA1c値の変化で、非劣性マージンは0.3%とした。デグルデク/リラグルチド群の非劣性が示された場合、副次エンドポイントとして、優越性について評価し、また、HbA1c値の変化以外に体重の変化、低血糖エピソードなども評価した。
体重変化、低血糖イベント発生率も、デグルデク/リラグルチド群の優越性確認
被験者の平均年齢は58.8歳、うち女性は49.7%だった。26週時点で追跡可能だった92.5%について分析を行った。
HbA1c値の変化幅は、グラルギン増量群が-1.13%に対し、デグルデク/リラグルチド群は-1.81%で、推定治療差(ETD)-0.59%(95%信頼区間[CI]:-0.74~-0.45)と、非劣性基準を満たし(p<0.001)、統計的な優越性基準も満たした(p<0.001)。
また、体重変化についても、グラルギン増量群1.8kg増に対し、デグルデク/リラグルチド群は-1.4kgと減少がみられた(ETD:-3.20kg、同:-3.77~-2.64、p<0.001)。
確認された低血糖イベントについても、グラルギン増量群が5.05件/患者投与年に対し、デグルデク/リラグルチド群は2.23件/患者投与年と有意に少なかった(推定率比:0.43、95%CI:0.30~0.61、p<0.001)。
全体的にみて、また重篤有害事象率についても、両群で差はみられなかった。ただし、非重篤だが消化器系有害事象の報告が、デグルデク/リラグルチド群で多かった(79件 vs.18件)。
これらの結果を踏まえて著者は、「さらなる長期間の有効性、安全性の評価が求められる」と結論している。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)