英国・オックスフォード大学のLeila Cheikh Ismail氏らは、INTERGROWTH-21stプロジェクト「胎児発育追跡研究(Fetal Growth Longitudinal Study:FGLS)」のデータを用い、妊娠中の体重増加量について国際基準を作成した。現在利用されている妊娠中の体重増加のガイドラインやチャートは、特定の国の研究から得られたもので、研究方法などに違いがあるため適正な体重増加量にも差があり、コンセンサスが得られていなかった。BMJ誌オンライン版2016年2月29日号掲載の報告。
8ヵ国で適切な妊婦管理を受けた母親を対象に検討
FGLSは、胎児発育の国際標準を作成する目的で、健康・栄養状態が良好で教育を受けた女性を登録し、適切な妊婦管理を行い胎児の発育を前向きに追跡調査した研究である。2009年4月~14年3月に、地理的に多様な8ヵ国(ブラジル・中国・インド・イタリア・ケニア・オマーン・イギリス・アメリカ)の都市部で実施された。
今回、研究グループは、妊娠中の体重増加量(gestational weight gain:GWG)について国際基準を作成すべく、FGLSのデータを解析した。解析対象は、FGLSに登録された妊娠14週未満の妊婦4,607人のうち、先天奇形のない単胎児を出産した4,313人であった。
母親の体重は、妊娠を確認した初回受診時(妊娠14週未満)から5週(±1週)ごとに、標準化された方法および同じ体重計で測定された。
妊娠40週での体重増加量は平均13.7kg
地域におけるGWGの変動を調べたところ、地域内変動が59.6%、地域間変動が9.6%で、前者が6倍高かった。
妊娠時期別の平均GWGは、妊娠14~18週1.64kg、19~23週2.86kg、24~28週2.86kg、29~33週2.59kg、34~40週2.56kgであった。また、妊娠40週時における総GWGは、妊娠初期に標準体重(BMI:18.50~24.99)であった3,097人において、平均13.7kg(標準偏差[SD]:4.5)であった。
測定したすべてのGWG値のうち、71.7%(1万639/1万4,846)は期待値の1SD内に、94.9%(1万4,085/1万4,846)は閾値である2SD内であった。測定データを基に、妊娠週数ごとのGWGパーセンタイル値(3、10、25、50、75、90、97)を算出した。
(医学ライター 吉尾 幸恵)