CYP2C19遺伝子異型がクロピドグレルの併用効果に影響/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2016/07/07

 

 軽度の脳梗塞または一過性脳虚血発作(TIA)を呈した患者で、CYP2C19機能欠失型対立遺伝子キャリアの患者は、クロピドグレルとアスピリンを併用しても、脳卒中の発症リスクはアスピリンのみの投与と同等であることが示された。中国・首都医科大学のYilong Wang氏らが、同国の患者2,933例を対象に行った無作為化比較試験の結果、明らかにした。これまで、CYP2C19遺伝子異型と臨床的アウトカムについてのデータは限定的であった。JAMA誌オンライン版2016年6月23日号掲載の報告。

CYP2C19対立遺伝子(*2, *3, *17)を持つ2,933例について試験
 研究グループは2010年1月2日~2012年3月20日にかけて、中国国内73施設で急性軽度脳梗塞またはTIAを発症した、3つのCYP2C19対立遺伝子(*2, *3, *17)を有する2,933例を対象に試験を行った。

 被験者を無作為に2群に分け、一方の群にはクロピドグレルとアスピリンを、もう一方の群にはアスピリンのみを投与した。CYP2C19機能欠失型対立遺伝子が、クロピドグレルによる臨床的アウトカムに与える影響の有無について検証した。

 主要有効性アウトカムは新たな脳卒中の発症だった。副次的有効性アウトカムは、新たな血管イベントの複合(虚血性脳卒中、出血性脳卒中、心筋梗塞、血管死)だった。また、安全性アウトカムとして出血について評価した。

複合血管イベント発生リスクもクロピドグレル併用群で低下せず
 被験者の66.4%が男性で、平均年齢は62.4歳だった。被験者のうちCYP2C19機能欠失型対立遺伝子(*2, *3)キャリアは58.8%(1,726例)で、非キャリアは41.2%(1,207例)だった。

 90日後の新たな脳卒中発症率は、非キャリア群ではクロピドグレル併用群が6.7%と、アスピリン単独群の12.4%に比べ有意に低率だった(ハザード比[HR]:0.51、95%信頼区間[CI]:0.35~0.75)。一方、CYP2C19機能欠失型対立遺伝子キャリア群では、クロピドグレル併用群の同発症率は9.4%に対し、アスピリン単独群は10.8%と、両群で有意差はなかった(HR:0.93、95%CI:0.69~1.26)。

 同様の結果は副次的有効性複合アウトカムについても認められた。非キャリア群では、クロピドグレル併用群の同アウトカム発生率は6.7%、アスピリン単独群は12.5%と有意差が認められたのに対し(HR:0.50、95%CI:0.34~0.74)、キャリア群では、それぞれ9.4%、10.9%と有意な差は認められなかった(同:0.92、0.68~1.24、交互作用p=0.02)。

 なお出血率については、非キャリア群とキャリア群で同等だった。クロピドグレル併用群の発生率はキャリア群2.3%、非キャリア群2.5%に対して、アスピリン単独群は1.4%、1.7%だった(交互作用p=0.78)。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

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コメンテーター : 後藤 信哉( ごとう しんや ) 氏

東海大学医学部内科学系循環器内科学 教授

J-CLEAR理事