アーミッシュの生活環境が喘息リスクの低下に関与/NEJM

アーミッシュとフッタライト(いずれもキリスト教の一派で、伝統的な生活様式で農業を営むコミュニティ集団)の子供たちは、生活様式や遺伝的系統が類似しているにもかかわらず喘息有病率が大きく異なっていた。その背景には自然免疫反応の形成や誘導の違いがあり、アーミッシュの生活環境は喘息に対して予防的に働くことが示唆されたという。米国・シカゴ大学のMichelle M. Stein氏らが、ヒトとマウスの研究から明らかにした。アーミッシュは畑仕事や移動に馬を使用するなど伝統的な農業を行っており、フッタライトは工業化された農業技術を用いるという点で、とくに違いがみられる。以前の研究でこの両集団の喘息発症率に顕著な違いがあることが示唆されていたが、その違いに関与する免疫反応については不明であった。NEJM誌2016年8月4日号掲載の報告。
アーミッシュとフッタライトで子供の血液とハウスダストを分析
研究グループは、アーミッシュ(インディアナ州)とフッタライト(サウスダコタ州)の小児計60人(各30人、7~14歳)を対象に、環境曝露、遺伝的系統、免疫プロファイルを調査し、アレルゲンおよびエンドトキシンを測定するとともにハウスダストの微生物叢を評価した。全血を採取して血清IgE値、サイトカイン反応および遺伝子発現を測定し、フローサイトメトリーを用いて末梢血白血球の表現型を解析した。さらに、両集団の住居から採取したハウスダストの免疫および気道反応に対する影響を、アレルギー性喘息マウスモデルで評価した。
両者で喘息有病率と免疫プロファイルに大きな差、環境要因の影響をマウスで確認
両集団の遺伝的系統は類似していたが、喘息有病率はアーミッシュが0、フッタライトが20%(6例)で、アーミッシュが低かった。また、一般的なアレルゲン(イヌ、ネコ、チリダニ、ゴキブリ)に対する血清IgE高値(>3.5kUA/L)の小児も、アーミッシュ2例、フッタライト9例と、アーミッシュで少なかった。一方、ハウスダストのエンドトキシン濃度中央値は、アーミッシュがフッタライトより6.8倍高値であった。両集団のハウスダストでは、微生物叢の違いも観察された。さらに、末梢血白血球については、単球の割合は両集団で類似していたが、アーミッシュはフッタライトと比較して好中球の割合が多く好酸球は少なかった。同様に、自然免疫細胞の表現型や機能についても両集団で大きな差が確認された。
ハウスダストの抽出液をアレルギー喘息マウスに鼻腔内滴下した結果、アーミッシュの住居から採取したハウスダストで気道過敏性、好酸球増加や特異的IgE値増加が有意に抑制された。自然免疫シグナリングに重要な分子であるMyD88およびTrifの両方が欠損しているマウスでは、これらの予防効果は消失した。
なお、著者は、症例数が少なく対象の年齢が7歳以上であったことや、微生物叢の評価に研究の限界があるとしている。
(医学ライター 吉尾 幸恵)
原著論文はこちら
Stein MM, et al. N Engl J Med. 2016;375:411-421.
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