心電図の目的は、波形から所見を読み取ることだけではありません。
いま心臓に何が起こっているかを把握し、次の行動へとつなげ、患者にその情報を還元することができてはじめて心電図を十全に活用できたと言えるでしょう。
本DVDでは、Dr.香坂のこだわりである、「読める」だけでなく「次のアクションにつなげる」ことに徹底フォーカス。
心電図から読み取る所見をどう診療に役立てていくか?
大切なのは、読影の先にあります。
第1回 左室肥大の真実
心電図をどう次のアクションにつなげるか?まずは、心電図からわかる左室肥大の算出方法をDr.香坂が詳しくレクチャーします。
心臓の大きさを見るときに、どことどこに注目するべきか?そういった基準は実ははっきりしてきています。
でもそこで満足してはいけません。左室肥大の所見をどう役に立てていくか。大切なのはその先にあります。
第2回 縁の下の力持ち 心房の心電図変化
今回は、心房拡大のメカニズムをP波の第2誘導を通してレクチャーしていきます。P波が120sec(3マス)以上伸びていると左房の拡大所見です。なぜそうなるのか、Dr.香坂の解説を聞くと、左房の拡大所見は、「実は伝導異常と言った方が正確だ」ということがわかります。
左房の大きさを見ることで、心臓にかかっている負荷の経年的な評価をすることができます。左室異常よりも左房異常の患者の方が将来心不全になっていく可能性が高いので、きめ細かくみていく必要があるでしょう。
第3回 脚ブロックを使いこなすには
心電図上で脚ブロックを見破るためには、V1誘導に注目します。深い谷のように切れ込んだパターンが出たら左脚ブロック、大きな「M」のような形で現れたら右脚ブロックの心電図パターンです。今回はさらに突っ込んで、不完全ブロックのパターンである「左脚前枝・後枝ブロック」についても細かく解説していきます。予後の指標になりにくい脚ブロックですが、限られた状況ではかなりの力を発揮します。そういった状況を的確にピックアップしていく力を身に着けましょう。
第4回 外科医と内科医の心電図
今回は箸休めの話題です。日本は年に1回健康診断を行わなければならないと労働安全衛生法で定められており、その検査の中に心電図が必須項目として含まれています。
ただしそれは世界的には例外なことで、アメリカやカナダなどのガイドラインではルーチーンの心電図を推奨していません。それはなぜなのでしょうか?
また、横の変化に強いが縦の変化には弱い機械読みの話、内科医と外科医心電図の読み方の違いなど、ちょっと知っておきたい話題について解説します。
第5回 心電図の本丸 STの上昇
今回のテーマは心電図の中でもっとも注目を集める“ST”部分についてです。STは心筋の虚血や心筋梗塞に鋭敏に反映する指標となり、心電図の本丸と言っても過言ではありません。
STが上昇している心電図は、ほぼ間違いなく急性心筋梗塞ということができます。ではなぜSTが上がるのか?そのメカニズムはもちろん、さらにもっと詳細に心電図を読み解き、波形と梗塞している箇所についてのつながりなど、徹底的に解説します。
第6回 ST低下はどこまで信用できる?
今回は、臨床的な状況判断が求められる“ST低下”“T波変化”“異常Q波”について取り上げます。
Dr.香坂曰く 「ST低下は嘘ばかり」、「T波変化はもっと嘘ばかり」、「時代遅れの異常Q波」。さてその真意とは?
そして臨床的な状況判断と言っても具体的にどう行動すればよいか。現在の支流について語ります。
第7回 上室性頻拍(1) 心房粗動から紐解く不整脈へのアプローチ
不整脈のパターンにはいくつかありますが、分類するとMacro-ReentryとMicro-Reentryに分けられます。
Macro-Reentryの大きな特徴は「肉眼的に目で見える」「カテーテルで灼ける」。
今回はMacro-Reentryの理解を深めるための題材として、心房粗動を取り上げます。
これらは心電図のパターン認識だけでなく、患者の治療にも結びつくので、ぜひ押さえておいてください。
第8回 上室性頻拍(2) 本当に必要か?AVRTとAVNRTの鑑別
今回は、AVNRTとAVRTのエッセンスをお教えします。
AVNRTの特徴はP波が見えにくい、AVRTはQ波とP波が離れているということが挙げられますが、
それぞれがなぜそのような波形を示すのか、その原理をわかりやすい図解を用いて解説。
Dr.香坂いわく、「心電図を深読みすることが重要ではなく、“治療にどうつなげるべきか”が大切」です。
Macro-Reentry型不整脈の治療についての理解が深まります。
第9回 なぜ心室から来る不整脈は怖いのか?VTとVFへの対応
今回は心室頻拍(VT)と心室細動(VF)について解説します。
これらはポンプである“心室”に直接影響します。そのため、不安定徴候を来しやすく、すぐに、直接的に、対応することが必要となります。
ゆっくり考えながら、心電図を読んでいる時間はありません。短時間で見るポイントと、その対応について学んでください。
第10回 5分で語る心房細動のエッセンス
今回は心房細動(AF)の解説です。心房細動は診療の中で一番多く見かける不整脈ではないでしょうか。
心房細動は一言で言えば、「絶対的に不整」。QRSのリズムにパターンがないことが特徴です。この心電図を見たら、次のアクションは?!
他の不整脈とは異なる対応が必要となる心房細動のエッセンスを5分でお教えします。
第11回 心電図最後の山場 QT部分
今回はQTについての解説です。
QT間隔は実は測定が難しく、循環器の専門医であっても正確に測れるのは半分ほどと言われています。「QT間隔の基準値」というのもありますが、人種差や個人差があって非常に難しいところです。Dr.香坂が勧めるのは、「過去の心電図と見比べる」こと。QTが過去と比べて延長していたら、非常に重篤な不整脈を起こす恐れがあります。機械読みも必ずしも正確ではないので、重篤な不整脈を避けるためにも、QTの計測は正確に確実に行う必要があります。
第12回 声に出して読みたい心電図
最終回は「心電図一発診断!」。心電図から“カッコよく”診断を導き出していきましょう。
でもちょっと待って!それは本当に臨床現場で役立つ読み方なのでしょうか?現実的な心電図の読み方はまず、「その心電図を読んで何の役に立つのか」を考えることです。
パッとみて決めない。自分なりの見る順番を作ってきちんと守ること。過去の心電図があったら必ず見比べる。臨床の現場で心電図を読むときの心がけとポイントを、Dr.香坂が熱く語ります。