本態性振戦に集束超音波視床破壊術は有効/NEJM

薬剤難治性本態性振戦に対し、MRIガイド下集束超音波療法による視床破壊術が有効であることが確認された。同治療法により手の振戦が減少し、副作用は感覚障害や歩行障害などであった。米国・ヴァージニア大学のW. Jeffrey Elias氏らが、中等度~重度の本態性振戦患者を対象に二重盲検無作為化比較試験を行い明らかにしたもの。同氏らは、パイロット試験で本態性振戦に対する集束超音波視床破壊術の効果を示唆していた。NEJM誌2016年8月25日号掲載の報告。
中等度~重度本態性振戦患者81例で、集束超音波治療と偽処置を比較
研究グループは、2013年8月~2014年9月に、1つ以上の第1選択薬(プロプラノロールまたはプリミドン)を含む2種類以上の薬物療法で効果不十分の中等度~重度本態性振戦患者81例を、片側集束超音波視床破壊術施行群(治療群)と、偽処置施行群(対照群)に3対1の割合で無作為に割り付け、有効性および安全性を検討した。評価は、ベースライン時、1、3、6および12ヵ月後に、振戦の臨床的評価尺度(CRST)および本態性振戦QOL質問票(QUEST)を用いて行った。振戦については、ビデオ録画され割り付けを知らない独立した神経科医らが評価した。
主要評価項目は、3ヵ月後におけるベースラインからの手の振戦の変化の群間差であった。手の振戦は32ポイントスケール(スコアが高いほど振戦が重度)を用いた。
なお、対照群は3ヵ月後に治療群へクロスオーバーできることとした(非盲検拡張コホート)。
3ヵ月後に集束超音波治療で手の振戦が約5割改善、効果は12ヵ月後も持続
解析対象は76例であった(平均年齢71.0歳、平均罹病期間16.8年)。手の振戦スコアは、治療群ではベースライン時18.1ポイント、3ヵ月後9.6ポイント、対照群ではそれぞれ16.0ポイントおよび15.8ポイントで、治療群でより大きな改善が認められた。ベースラインからの変化量の平均群間差は、8.3ポイント(95%信頼区間[CI]:5.9~10.7、p<0.001)であった。治療群における手の振戦の改善は、12ヵ月後も持続していた(ベースラインからの変化量は7.2ポイント、95%CI:6.1~8.3)。副次評価項目である障害やQOLも、対照群に比べ治療群(盲検コホート)で同様に改善が認められた(いずれもp<0.001)。治療群における有害事象は、歩行障害36%、感覚異常またはしびれ感38%で、12ヵ月後それぞれ9%および14%で持続していた。著者は、集束超音波視床破壊術の施行が片側であったことなどを研究の限界として挙げるとともに、治療による損傷範囲の大きさと有害事象のリスクとのバランスを取る必要があることを指摘したうえで、「MRIガイド下集束超音波視床破壊術は本態性振戦患者の手の振戦を軽減しQOLを改善することが認められたが、注意深く管理された臨床試験で行われる集束超音波視床破壊術のベネフィットとリスクは、多様な実臨床下とは異なる可能性がある」とまとめている。
(医学ライター 吉尾 幸恵)
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